ネットショッピングの普及や在宅時間の増加に伴い、宅配サービスの利用件数は年々増加傾向にあります。
しかし、同時に増えているのが宅配ボックスから荷物を盗む窃盗行為です。近年は「置き配」サービスも一般的になっていますが、セキュリティー対策が不十分だとそれだけ窃盗に遭うリスクも高くなってしまうでしょう。
そこでこの記事では、「宅配ボックスの防犯対策」をテーマに、次のトピックを詳しく解説します。
- 宅配ボックスは大きく分けて3種類
- よくある宅配ボックスの被害例
- 宅配ボックスの防犯対策5選
結論から言うと、セキュリティー性に優れた宅配ボックスなら「埋め込み型」がおすすめです。宅配ボックスは盗難にあっても保証を受けられないケースがほとんどのため、しっかりとセキュリティー対策を行っておきましょう。
宅配ボックスは主に3種類 | 防犯性が高いのは?

「宅配ボックス」とは、宅配便や郵便物を受け取るためのロッカー型の設備のことです。受取人が不在でも荷物を受け取れるのがメリットで、宅配業者としても再配達の手間をなくすことができます。
宅配ボックスは大きく次の3つに分けられ、それぞれ価格帯やセキュリティー性が大きく異なります。
- 簡易型ビニール製ボックス
- 簡易型金属製ボックス
- 埋め込み型(据置型)ボックス
1. 簡易型ビニール製ボックス
「簡易型ビニール製ボックス」は、南京錠やワイヤーが付属したビニール製の宅配ボックスです。宅配ボックスをドアノブや窓のサッシなどにくくりつけることで、盗難を防ぐ効果があります。
簡易型ビニール製ボックスは、ほかのタイプに比べて価格帯が低いのがメリットです。中には2~3,000円程度で購入できるものもあり、「とりあえずセキュリティー対策をしておきたい」という方にはぴったりでしょう。
しかし、価格が安いぶん素材の耐久性は低く、商品によってはカバーが薄いこともあります。多少の日除け効果はあっても、雨風によってすぐに劣化してしまうこともあるかもしれません。
また、ワイヤーが切れていたり、施錠を忘れていたりすると、簡単に荷物を持ち去られるリスクがあるため、あくまで「簡易的な防犯対策」と認識する必要があります。
2. 簡易型金属製ボックス
「簡易型金属製ボックス」は、アルミやステンレスなどの金属でできた宅配ボックスです。ビニール製に比べて強度が高く、重量もあるため、ボックス本体を壊されることはまずありません。
そのため、「予算は抑えつつもできるだけ頑丈な高いボックスにしたい」という方に向いているでしょう。
ただし、自宅の前に置くだけの簡易設置であることには変わりありません。つまり、たとえ金属製であっても、ボックスごと持ち去られてしまうリスクは十分に考えられます。窃盗のリスクを抑えるなら、できるだけ目立たないところに置くのがよいでしょう。
3. 埋め込み型(据置型)ボックス
「埋め込み型(据置型)ボックス」は、3つの中でもっとも防犯性に優れるタイプです。工事が必要となるのがデメリットですが、建物や地面などに埋め込まれることで宅配ボックスごと持ち去られるリスクがありません。
主な設置方法としては、次の3つが考えられます。
- 壁に埋め込むタイプ
- 地面に埋め込むタイプ
- ポールで設置するタイプ(インターフォンと併設)
設置工事は、新設の場合は1日、入れ替えの場合は2~3日ほどかかります。週末や連休で工事が完了するため、普段は仕事で忙しい方でも気軽に依頼しやすいでしょう。
宅配ボックスのよくある盗難事例

宅配ボックスから荷物を盗まれる事例としては、主に次の3つが挙げられます。先ほど紹介した宅配ボックスの3つのタイプと照らし合わせながら、よくある被害例を確認してみましょう。
- 盗難防止ワイヤーを切られる
- ボックスごと盗まれる
- 解錠番号を盗まれボックスを開けられる
盗難防止ワイヤーを切られる
「簡易型ビニール製ボックス」や「簡易型金属製ボックス」をワイヤーで固定している場合、ワイヤーを切られてしまう可能性があります。どれだけ丈夫なワイヤーで固定していても、ワイヤーを切られてしまっては盗難を防ぎようがありません。
ボックスごと盗まれる
同様に、「簡易型ビニール製ボックス」や「簡易型金属製ボックス」によくある例として、ボックスごと盗まれるケースが挙げられます。
特に「簡易型ビニール製ボックス」は軽量であるがゆえに、誰でも簡単に持ち運ぶことができます。ワイヤーや施錠が不十分だと、それだけですぐに窃盗のターゲットになってしまうでしょう。
こうした被害に遭わないためには、できるだけ宅配ボックスを通行人の目につきにくい場所に設置するのが効果的です。
解錠番号を盗まれボックスを開けられる
「埋め込み型(据置型)ボックス」は、3つの中でもっともセキュリティー性が高いタイプですが、それでも解錠番号を盗まれてボックスを開けられてしまうことがあります。
一般的に宅配ボックスに荷物を投函する際、解錠番号が記載された用紙が郵便受けに投函されます。つまり、この用紙を何かしらの方法で抜き取られてしまうと、宅配ボックス内の荷物を簡単に盗まれてしまうことになります。
そのため、宅配ボックスのセキュリティーを保つには、郵便受けのセキュリティーにも十分に配慮が必要です。
宅配ボックスの荷物を盗まれた!責任の所在は?

宅配ボックスの荷物が盗まれた場合に気になるのが、「同じ商品を再送してもらえるのか?」、「購入額はどうなのか?」といった点でしょう。
結論から言うと、宅配ボックスの荷物を盗まれても、基本的に配送業者から保証を受けることはできません。宅配ボックスに荷物を届けた時点で配送業者の業務は完了となり、それ以降の窃盗については受取人の責任とみなされるのが一般的です。
つまり、宅配ボックスの荷物を盗まれると、受取人の「泣き寝入り」になってしまう可能性がきわめて高いのが現実です。そのため、高額な商品を受け取るときなどは、宅配ボックスではなく本人が直接受け取るのが確実でしょう。
なお、後述するように「防犯対策サービス」に加入することで、宅配ボックスからの盗難の被害を保証してもらえることがあります。サービスに加入するためには年会費がかかることもありますが、もしものときの安心料として払っておくのも選択肢の1つです。
これで安心!宅配ボックスの防犯対策

宅配ボックスの盗難による「泣き寝入り」を回避するには、できる限り多くの防犯対策をとっておくことが大切です。効果的な防犯対策としては、主に次の5つが挙げられます。自宅に導入できそうなものはないか、1つずつチェックしてみて下さい。
- IoT宅配ボックスを使う
- セキュリティ性の高い施錠にする
- 監視カメラを設置する
- 防犯グッズを活用する
- 防犯対策サービスに加入する
1. IoT宅配ボックスを使う
セキュリティー性を重視するなら 「IoT宅配ボックス」にするのも選択肢の1つです。
「IoT宅配ボックス」とは、配達状況などをスマホアプリで一括管理できる最新の宅配ボックスです。配達時刻や解錠番号などがスマホアプリに通知されるほか、ボックス内にカメラを備え付けることで、配達時の映像をアプリ上で確認することもできます。
そのため、アパートなどで防犯カメラや防犯システムなどを自己判断で取り付けられないときにも便利でしょう。
また、IoT宅配ボックスは複数人で共有でき、追跡番号を家族や友人に知らせておけば、荷物の受取代行を依頼できます。「なりすまし」による受け取りだけでなく、配送業者による誤配送を防げるのも、IoT宅配ボックスならではのメリットです。
2. セキュリティ性の高い施錠にする
宅配ボックスをロックするときは、できるだけセキュリティー性の高い施錠を選ぶのもポイントです。
宅配ボックスの施錠方法としては、主に次の3つが挙げられます。
【南京錠】
もっともシンプルなのが、宅配ボックスをワイヤーと南京錠で固定する方法です。「簡易型ビニール製ボックス」や「簡易型金属製ボックス」においては特に一般的な施錠方法といえます。
しかしこの場合、南京錠やワイヤーを壊されてしまうと、簡単に宅配ボックスごと持っていかれることになります。どれだけ太い南京錠やワイヤーなどを使っても、強力なハサミがあれば簡単に壊されてしまうこともあるかもしれません。
【ダイヤル式】
ダイヤル式は、宅配のたびに解錠番号を設定できる施錠方法です。配達員がボックスに荷物を投函するときに番号を設定し、同時に番号が記載された通知書をポストに投函することになります。
受取人が通知書に記載された番号をダイヤル操作することで荷物を取り出すことができますが、通知書を盗まれてしまうと簡単に宅配ボックスも開けられてしまうのがデメリットです。
【電子パスワード式】
電子パスワード式は、番号の設定と入力をテンキー(数字を押すボタン)でおこなう施錠方法です。基本的な施錠の流れは、ダイヤル式と変わりありません。電子パスワードのほか、磁気カードなどによって認証を行うことも可能です。
3. 監視カメラを設置する
宅配ボックスの防犯対策として、自宅に監視カメラを設置するのも効果的です。監視カメラが設置されていれば、それだけで犯人は窃盗に及びづらくなり、空き巣に狙われるリスクも大きく抑えることができます。
また、万が一窃盗のリスクにあった場合には、監視カメラに残ったデータを警察などに提供でき、犯人の特定や荷物の損害賠償等に活用できます。
ただし、悪質な犯人だと防犯カメラごと持ち去ったり、防犯カメラを破壊したりするケースも少なくありません。このような場合、せっかく防犯カメラを設置していても、防犯カメラのデータ記録が失われてしまう可能性もあるでしょう。
防犯カメラを選ぶ際には、カメラ内部にデータを保存するタイプより、データをクラウド上で管理できるタイプを選ぶと、より効果的なセキュリティ対策が可能です。
4. 防犯グッズを活用する
できるだけ費用をかけずに防犯対策を行いたい方は、市販の防犯グッズを活用するのも選択肢の1つです。
たとえば人感センサーで点灯するライトを設置すれば、犯人としても警戒心が強くなり、犯行に及びづらくなります。また、防犯カメラを設置していなくても「防犯カメラ作動中」などと書かれたステッカーを貼っておけば、それだけで被害に遭うリスクを下げることができます。
5. 防犯対策サービスに加入する
万が一による被害に備えておきたい方は、防犯対策サービスに加入するのも選択肢の1つです。宅配ボックス自体にセキュリティ機能がついていなくても、防犯対策サービスに加入すれば十分なセキュリティを確保できます。
万が一盗難に遭っても、防犯対策サービスにより犯人の特定や荷物の保証などにつながる可能性があるため、入っているだけで安心感につながるでしょう。
宅配ボックスは戸建てほど空き巣に狙われやすい

戸建て住宅と集合住宅(マンションなど)を比較したとき、宅配ボックスの盗難に遭いやすいのは圧倒的に戸建てです。
これは、戸建ての方が通行人の死角に入りやすく、犯行に及びやすい環境にあるためです。特に玄関前などに簡易な宅配ボックスを置いていると、簡単に持ち去られてしまう可能性が高いでしょう。
こうした荷物の盗難を防ぐには、当記事で紹介した対策を実践することが大切です。窃盗に狙われにくい宅配ボックスを備え付け、安全性と利便性の両方を手に入れてください。
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