畳によって厚さは違っており、厚さ15mmの畳もあれば、60mmの畳もあります。そのため、畳を新しく設置する際、どれくらいの厚さが最適なのか迷ってしまう人もいるかもしれません。この記事では、畳の標準的な厚さや厚い畳・薄い畳それぞれのメリット、畳の厚さを選ぶときのポイントについてわかりやすく解説します。
畳の構造って、どうなっているの?

畳は、大きくわけると「畳表(たたみおもて)」「畳床(たたみどこ)」「畳縁(たたみべり)」という3つの部分でできています。畳によって厚さが変わるのは、特に「畳床」の部分に大きな違いがあるからです。
畳の厚さが変わる理由を正しく知るために、まずは畳の基本的な構造について見てみましょう。
畳表(たたみおもて)
畳表とは、畳の表面に敷かれた「ゴザ」のことで、人が座ったり寝転がったりする部分を指します。
畳表は天然のイグサを麻糸で織り込むことによって作られており、畳独特の手触りや温かみなどを生んでいます。編み込みの細かさやイグサの種類によって、畳表の質感も変わるのが特徴的です。
畳表は非常に薄いので、畳自体の厚さに大きな影響を与えることはありません。
畳床(たたみどこ)
畳床とは、畳の“中身(芯材)”にあたる部分で、畳の大部分を占めます。畳の厚さに違いがあるのは、畳によってこの畳床の厚みが違うからです。
畳床はもともと藁(わら)でできていましたが、今では断熱性や防音性に優れたポリスチレンフォームやインシュレーションボードなどの建材が使われています。「畳の機能は畳床で決まる」といっても過言ではないほど、畳床は重要パーツです。
畳縁(たたみべり)
畳縁は、畳の端につけられた帯状の素材のことです。畳縁は畳表のイグサが擦れて傷つかないよう、保護する役割を担っています。また、畳縁には独特の紋様が描かれており、装飾としての一面も持っているのが特徴です。
畳縁には紋様によって「繧繝縁(うんげんべり)」や「高麗縁(こうらいべり)」などの幅広い種類がありますが、畳の厚さ自体にはほとんど影響がありません。
畳の厚さは、どのくらいが標準的?

畳の厚さは、何mmくらいが標準的とされているのでしょうか。
ここでは、畳の標準的な厚さと、近年人気が高まっている“薄い畳”の特徴について解説します。
標準的な厚さは「55mm・60mm」
日本の国家規格である日本工業規格(JIS規格)では、畳の厚さは「55mm」または「60mm」と定められています。和室の床に敷き詰められる一般的な畳も、55mm~60mmの厚さです。
というのも、もともと和室として設計されている部屋は、厚さ55mmや60mmの畳を敷くことが前提となっています。そのため、畳が55mmや60mmの厚さであれば、敷居や畳寄せといった周辺部材の高さともピッタリ合うようになっているのです。
厚さが「30mm」や「15mm」の畳も増えている
近年は、洋室を和室風にリフォームしたいというニーズも増えています。しかし、洋室にはもともと厚さ15mm程度のフローリング材が設置されているため、55mmや60mmの畳を置いてしまうと、厚すぎて他の部屋との段差が生まれてしまいます。
そこで広まってきたのが、厚さ30mmや15mmなどの薄い畳です。15mm~30mmの薄い畳であれば、洋室にも大きな段差を生むことなく設置できます。今では、厚さ30mm~60mmの畳は「厚畳(あつだたみ)」、15mm~30mmの畳は「薄畳(うすだたみ)」と呼ばれ、用途に応じて使い分けられることが一般的です。
厚畳(30mm~60mm)のメリットは?

比較的厚みのある「厚畳(30mm~60mm)」を使うことで、具体的にどのような良い点があるのでしょうか。
ここでは、厚畳ならではのメリットについて紹介します。
耐久年数が長い
芯材である畳床が厚くなればなるほど、畳本体の強度が増すため、耐久年数が長くなります。たとえ日々畳を使用するなかで畳の表面が傷んだとしても、中身の畳床は耐久性が高いため、畳表を裏返すだけで継続して使用することが可能です。つまり、薄畳よりも厚畳のほうが一般的に長持ちするということになります。価格は厚い畳も薄い畳も大きくは変わらないため、長期的に見ると厚い畳のほうがリーズナブルといえるでしょう。
断熱性・保温性が高い
畳床に使われている断熱材のポリスチレンフォームは、高い断熱性と保温性を誇っています。一般的に畳が厚くなればなるほど、ポリスチレンフォームも厚くなり、より高い断熱性と保温性を実現できるのが特徴です。そのため、厚畳のほうが薄畳よりも温かさをキープしやすく、四季を通じて畳を快適に使用しやすくなるでしょう。
防音効果が高い
畳床に使われているインシュレーションボードは、天井や壁にも使われている建材で、吸音性が高いのが特徴です。畳を厚くするほどインシュレーションボードも厚くなるため、防音効果が高まります。マンションの2階以上に住んでいるファミリー世帯は、子どもの足音による騒音問題を避けるためにも、薄畳よりも厚畳のほうが安心でしょう。
畳縁のバリエーションが豊富である
帯のように畳に備え付けられた畳縁には、美しい紋様が描かれています。畳を購入する際、畳縁の絵柄を基準に選ぶ人も少なくありません。しかし、薄い畳には畳縁がついていないものも多くあります。一方の厚い畳は畳縁の種類も豊富なので、インテリアとしてのデザイン性を重視したい場合は、厚畳のほうが適しているでしょう。
薄畳(15mm~30mm)のメリットは?
厚畳と比べて、一方の「薄畳(15mm~30mm)」にはどのような良い点があるのでしょうか。
ここでは、薄畳ならではのメリットについて解説します。
洋室や床暖房の部屋にも敷ける
最近では、リフォームにあたって洋室を和室に変えるケースも珍しくありません。その場合、洋室のフローリング材を剥がして畳を敷き詰めたり、フローリング材の上に畳を置いたりする必要があります。その点、できるだけ薄い畳を選べば洋室にも設置しやすく、リフォーム後の段差も最小限に抑えることが可能です。
また、すでに床暖房が設置されている部屋には、厚い畳を設置するのが難しいという課題があります。こうした床暖房の部屋にも、薄畳であれば無理なく設置できるのがメリットといえるでしょう。
バリアフリーな部屋にできる
和室以外に畳を敷く場合、厚い畳だとどうしても隣室と大きな段差が生まれてしまいます。その点、薄い畳は廊下や隣室との段差を少なくできるので、車いすでも通りやすいのがメリットです。
また、薄畳を敷くことで、子どもが段差でつまずいてしまうリスクも減らせます。そのため、バリアフリーという観点で選ぶのであれば、薄畳は適しているでしょう。
持ち運びしやすく、手軽に敷ける
薄畳は、持ち運び可能な“置き畳”として販売されていることもあります。マット感覚で柔軟に使えるため、その日の気分で置き場所を変えることも可能です。例えば、子どもの遊ぶ場所に敷いたり、来客がある部屋に敷いたりすることもできます。気軽にどこにでも和空間をつくり出せるのが、薄畳の魅力といえるでしょう。
畳の厚さを選ぶときのポイント

最適な畳の厚さを選ぶためには、具体的にどのようなことを意識すればいいのでしょうか。
ここでは、畳の厚さを選ぶときの2つの必須ポイントについて解説します。
床の高さに合わせる
畳の厚さを決めるときは、事前に部屋の床の高さを調べておくことが肝心です。仮に畳が厚すぎる場合、ドアやクローゼットと干渉してしまい、うまく扉が開かない可能性もあります。あらかじめ床の底面から敷居・畳寄せ・ドアなどへの距離(高さ)を正確に測っておけば、ピッタリな厚さの畳を選びやすくなるでしょう。
畳の使用目的に合わせる
畳の使用目的によっても、最適な厚さは変わります。
例えば、マンションの子ども部屋に常設するのであれば、防音効果の高い「厚畳」が適しています。逆に常設せず、日向ぼっこや昼寝用として適宜使いたい場合は、気軽に持ち運べる「薄畳」がピッタリです。このように畳を使用するシーンや用途などを思い描いたうえで、最適なものを選ぶようにしましょう。
畳は厚さだけでなく、「サイズ」にも注目しよう

畳を選ぶときは、厚さだけでなくサイズ(横幅×縦幅)もチェックすることが不可欠です。
畳には以下のようにさまざまな種類があり、サイズも異なります。
- 江戸間:880mm×1760mm
東京を中心とする関東エリアや、静岡以北のエリアで主に使われており、「関東間」とも呼ばれています。
- 団地間:850mm×1700mm
地域にかかわらず、アパートやマンションなどの共同住宅で使われている、比較的新しい種類の畳です。
- 京間:955mm×1910mm
関西や四国、九州などの西日本エリアで主に使われており、別名で「関西間」と呼ばれることもあります。
- 中京間:910mm×1820mm
愛知や岐阜、三重を中心に、近年は東北エリアでも使われている畳で、「三六間」という名前もあります。
- 琉球畳:880mm×880mm
主に沖縄地域で使われている、畳縁のない薄い畳です。近年はインテリアとしても人気を博しています。
万が一部屋の面積に合わない畳を選んでしまうと、うまくはまらずに、無駄なスペースが生まれてしまいます。そのため、あらかじめ部屋の面積を測ったうえで、横幅・縦幅の合う畳を選ぶことがポイントです。
まとめ
畳の厚さは55mmか60mmが一般的ですが、最近では30mmや15mmのような薄い畳も販売されています。厚い畳と薄い畳では、耐久年数や断熱性、持ち運びやすさなどが違うため、使用目的に応じてピッタリのものを選ぶようにしましょう。
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