トイレは、日常生活に欠かせない空間です。しかし、住宅のなかでも最小限のスペースのなかに、設備と多数の消耗品をしまえる収納、さらに機能性とデザイン性まで詰め込まなければならないという矛盾にぶつかる空間でもあります。「清潔感と生活感」のバランスを保つことに、課題を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、トイレの収納という面からこうした課題を具体化するとともに、近年登場している「収納付きトイレ」へのリフォームによる解決策を紹介します。
※紹介している製品の価格などは、2024年6月時点の情報です。
トイレ収納でよくある課題

そもそも、なぜトイレの収納に悩むことが多いのでしょうか。まずは、トイレにありがちな収納の課題を具体的に見てみましょう。
必需品が多い
トイレには、トイレットペーパーのストックや掃除用品など、細かな消耗品が必須となります。一般的にトイレは1畳以下のコンパクトな空間ですが、そのなかに便器を設置するだけではなく、これらの収納スペースも含める必要があります。
生活感が出てしまう
トイレに必要なアイテムの多くは消耗品のため、頻繁に取り出したり入れ替えたりすることになります。収納スペースが足りなかったり、「手に取りやすい場所に」と考えたりすると、つい出しっぱなしで散らかってしまうことも多いでしょう。片付いていないと清潔感や快適さがなくなりますし、“生活感”が出てしまうため来客があるたびに片付ける、といった手間が発生してしまいます。
掃除がしにくい
消耗品などの細かなアイテムを収納するスペースとして、床置きの収納棚を設置しているケースもよくあります。ただしその場合、小さな隙間が増えてしまい掃除がしにくいのが懸念点です。また、収納スペースに掃除用具が収まりきらずトイレの外に保管しておく場合は、すぐに清掃ができず利便性が下がってしまいます。
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トイレの収納アイデア

上記のような課題には、どのような解決策があるでしょうか。代表的なアイデアをいくつか紹介します。
作り付けの収納庫
トイレの収納というと、便器上の吊戸棚や横壁面の収納庫を取り付けておく方法が最も一般的です。ただし、吊戸棚は高い位置にあるため取り出しにくく、収納庫はトイレの横幅が狭くなってしまうため場合によっては取り付けられない、といった課題があります。
壁掛け棚
戸棚ではなく、開放型の棚板を設置する場合もあります。スペースを圧迫せず、取り出しやすいため利便性も高まるでしょう。その一方で、消耗品などがそのまま目に入ってしまうため、先述の「生活感が出てしまう」といった課題と切っても切りはなせません。
ラック等の設置
トイレ用の床置き型収納ラックも、さまざまなタイプが市販されています。適度な目隠し効果のあるデザインで生活感を抑えたものや、必需品を効率的に収納できるよう設計されたものなどもあり、お気に入りのものを選べるでしょう。また、固定せず持ち運べるサイズや重さのものであれば、掃除のしやすさとも両立できます。ただしこの場合でも、床面積の限られたトイレで足元の障害物となってしまう課題は避けられません。
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収納一体型トイレ
ここまでに紹介した「トイレにありがちな課題」の解決策として、近年は「収納一体型」のトイレが登場しています。その多くは、便器の背面部分に収納庫を設けたものです。給水管やタンクをキャビネットに隠すことですっきりとしたデザインとなり、両サイドのデッドスペースとなっていた部分が収納庫となります。収納が壁面と一体化することで、トイレ内のスペースを圧迫せず、便器奥などにあった隙間が埋まるため掃除のしやすさも向上する、といったメリットがあります。

おすすめの収納付きトイレ3選
収納付きトイレは比較的近年になって登場した製品のため、馴染みのない方も多いと思います。そこで、各メーカーの収納付きトイレの特徴を、紹介します。
LIXIL「Jフィット(リフォレ)」
■本体定価:268,000円~
タンク等をキャビネットに収納し、便器本体も凹凸が少ないため、ほこりがたまりにくく拭き掃除がしやすいデザインです。キャビネットには、トイレットペーパー6個、洗剤、トイレブラシ、芳香剤2個などを収納できます。また、手洗器はキャビネット上面のコーナー部分に設置されており、タンク上の手洗いに比べて高さを抑えた構造です。便器本体が邪魔になりにくいため、手を洗いやすくなっています。キャビネットと手洗器を便器横に配置したL型バリエーションも用意されています。
リフォレ(LIXIL)の商品一覧
LIXIL「フロート トイレ」

■本体定価:355,000円~
便器本体が床に接地していない、“浮かせる”デザインを採用したトイレです。足元のスペースが広くなるとともに、障害物がなくなるため床面の掃除がしやすくなることが特徴です。また、背面キャビネットの上部まで延びた金属製フレームを組み込むことで、壁掛けデザインで課題となる壁にかかる荷重を減少させています。キャビネットの収納容量は、トイレットペーパー9個、フロアモップやトイレブラシ、洗剤、芳香剤2個などとなっています。
TOTO「レストパル」

■本体定価:350,300円~
収納力を重視した「まるごと収納タイプ」と、奥行を抑えた「スリム収納タイプ」、手洗器やカウンターのあり/なしなど、ニーズやトイレの空間サイズに合わせて柔軟に選択可能です。また、便器本体も床排水タイプとフロートデザインをラインナップしています。収納容量としては、カウンターと手洗器のないI型「まるごと収納タイプ」で、トイレットペーパー12個、トイレブラシ、洗剤・芳香剤各2個などが想定されています。
トイレリフォームの流れ

収納付きトイレへのリフォームを考える際に、意識しておくべきポイントを工事の流れとともに紹介します。
現状の確認
収納付きトイレへリフォームする場合、まずは現状の室内サイズを把握しておくことが欠かせません。たとえばLIXILの「Jフィット(リフォレ)」であれば、背面の収納キャビネットを設置するためには間口(横幅)が750mm以上、奥行は1160mm以上(フロートタイプなら1270mm以上)が必要です。さらに、窓や扉がキャビネットに重ならない位置にあることも必須となります。また、できれば給排水の位置も把握しておいた方が良いでしょう。フロートタイプのトイレを設置したいと考えている場合など、現状の排水経路が床下方向となっていると配管工事が追加で必要となってくるかもしれません。
プランニングと見積り
現状を把握できたら、「収納を重視したい」「デザインにこだわりたい」「掃除しやすくしたい」といったリフォームの目的とともに業者へプランニングと見積りを依頼しましょう。そして室内サイズや予算に合ったラインナップのなかから、機能やデザインでプランを具体化していきます。またその際には、工事費用などに差が出るため複数の業者へ依頼した方が良いでしょう。
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工事~引き渡し
見積りや提案内容をもとに業者が決定したら、いよいよリフォーム工事の着工です。収納付きトイレでも入れ替えのみであれば半日程度で完了しますが、給排水管工事や床・壁も同時に工事する場合には数日にわたることもあります。もちろん、その間はトイレが使用できないため、仮設トイレ等の手配も必要となります。
まとめ
トイレの限られたスペースを、清潔で整然とした空間として保つためには、収納の工夫が欠かせません。より使いやすく、見た目にも優れた空間づくりを目指すにあたって、これまではデッドスペースであり、それどころか掃除の際の課題にもなっていた部分を収納として有効活用できる「収納付きトイレ」の可能性を感じていただけたのではないでしょうか。ちょっとした投資で快適なトイレ空間が手に入る、収納付きトイレの導入をぜひご検討ください。
カインズリフォームでも収納付きトイレへのリフォームを承っています。また、カインズの店舗ではトイレ用の収納用品も多数扱っています。リフォームの相談は店頭のカウンターでも受け付けていますので、ぜひお近くのカインズに足を運んでみてください。

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