自宅にトイレを設置したり、新しく交換したりする際、検討材料のひとつになるのがタンクです。トイレは年々進化し、現在ではタンクがないタイプのトイレも普及しています。そこでこの記事では、トイレタンクの種類やタンクの水が流れる仕組み、タンク一体型とタンクレス型の違い、それぞれのメリット・デメリットについて、詳しく解説します。
トイレタンクの種類

トイレのタンクには、密結タイプ、平付タイプ、隅付タイプがあります。それぞれ、設置するために必要な広さなどの条件があり、自宅に合うタイプを選ぶには特徴を知っておく必要があります。
密結タイプ
タンクが、洋式便器の上に乗っているタイプです。家庭用トイレのタンクによくみられ、手洗い管のあり・なしに分かれます。メーカーによって、密結ロータンク、あるいは密結形ロータンクなど呼称が異なります。
平付タイプ
トイレの壁にタンクが取り付けてあるタイプです。便器の後方に設置されていたり、便器から少し離れていたりすることがあります。便器とタンクに距離があることから、洗浄管が便器とタンクをつなぎ、その管を水が通って便器に流れ込んでいく仕組みです。
隅付タイプ
三角形のタンクが、トイレの壁の角に取り付けられているタイプです。三角形のタンクからパイプが伸びて便器とつながり、水を流します。比較的古い住宅によくみられるタイプです。
タンク一体型とタンクレスの違い
トイレは基本的に、便器、便座、タンクの3つのパーツで構成されています。一体型トイレは、それらのパーツが一体となっており、非常にコンパクトな形状と洗練されたデザインが特徴です。パーツとパーツの連結部分がないため、掃除がしやすいというメリットもあります。
タンクレストイレは、水をためておくタンクがないトイレのことです。水道管と便器をつなぎ、水道の水圧によって排水する仕組みです。タンクに水がたまるまで待つ必要がないことから、連続して流すことができます。ただし、一定以上の水圧が必要なため、高層階への設置はできません。
トイレタンク内部の構造

トイレタンクの内部は、ただ水がたまっているだけではありません。ここでは、トイレタンク内部の構造や、代表的なパーツについて解説していきます。
トイレの水が流れる仕組み
トイレタンクの内部には、ボールタップにつながった浮き球が設置されています。レバー(ハンドル)を回すとタンク内部のフロートバルブが持ち上がり、タンク内部にたまっていた水が便器に流れ込んでいきます。水が流れることでタンク内の水位も下がり始め、水量を調整する機能を持つ浮き球も水位に合わせて沈んでいきます。そして水位が下がったら、弁の開閉に重要な役割を果たすボールタップの弁が開き、タンク内に水を供給すると同時に浮き球も上がり、給水は止まります。
浮き球
タンク内の水面に浮かぶ、球状のパーツです。タンク内の水量に合わせて浮き沈みします。この浮き球の上下の動きで、タンクの水位を把握します。
ボールタップ
給水管からタンク内に水を供給するための部品です。レバーを引くと排水弁をふさぐフロートバルブが持ち上がり、タンク内の水が便器内に流れます。タンク内の水位が下がれば、ボールタップ先端の浮き球の位置も下がります。これによりボールタップ内の弁が開き、タンクに給水されるのです。浮き球の位置が元に戻ると同時にボールタップの弁も閉じて給水は終わります。
オーバーフロー管
タンクの底から上に伸びている管で、タンク内の水が外にあふれ出るのを防ぐ機能があります。タンク内の状態が正常であれば特に動くことはありませんが、詰まりなど何かしらの異常が発生し、タンクの水があふれる可能性が生じたら、管を通してタンク内の水を便器へ排出してくれます。
フロートバルブとチェーン
フロートバルブは、タンク内の水を便器へ流したり、止めたりするゴム製の部品です。レバーの先端とチェーンでつながれており、レバーを回すとフロートバルブが開いて排水され、便器内の汚物が流される仕組みです。排水が一定量に達すると排水口がふさがれ、水は止まります。
レバー(ハンドル)
トイレタンクの外にある、水を流すためのレバー(ハンドル)です。レバーの先にはフロートバルブのチェーンが接続されており、レバーを動かすとチェーンからフロートバルブへと力が伝わって、水が流れます。
こんな症状のときはタンクをチェック
水を流していないのに便器に少量の水が流れ続けている、水を流した後にたまるはずの水がタンクに入ってこないといった症状がみられた場合は、トイレタンクの内部が損傷している可能性があります。何かおかしいと感じたら、タンクのフタを開けてみて、内部をチェックしましょう。水がたまっていない、弁が完全に閉まっていないといった状態がみられたら、部品を交換するなどの対処が必要です。修理の方法がわからない場合は、専門の業者に連絡をして作業してもらうという選択肢もあります。
タンク一体型とタンクレス型、どちらを選ぶべきか?

トイレは年々進化を続けており、新しい機能やデザインの商品が次々と市場に投入されています。タンク一体型とタンクレス型、どちらを選ぶべきなのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットをみていきましょう。
タンク一体型のメリット
タンク一体型の大きなメリットは、掃除がしやすい点です。タンク一体型トイレは、その名のとおりすべてのパーツが一つにまとまった形状をしています。タンクと便器の連結部分がないため、ホコリや汚れなどがたまりにくく、タンクと便器が分かれているタイプよりも拭き掃除がとても楽です。
また、見た目がすっきりしているため、トイレがオシャレな空間になるというメリットもあります。それぞれのパーツが独立しているタイプのトイレとは異なり、一つにまとまっていることでデザインも洗練されています。造形がスタイリッシュなため、トイレをオシャレな空間にできるのも一体型トイレの特徴と言えます。
タンク一体型のデメリット
タンク一体型のトイレは、本当に必要な機能の商品を選びにくいというデメリットがあります。たとえば、自動便器洗浄とフタの自動開閉機能がある商品の場合、もともと両方の機能が搭載されており、どちらかの機能がない商品を選ぶことができないケースがあります。自分にとって不要な機能もついてきてしまうため、その分、価格も高めと感じるかもしれません。
故障したときに手間がかかる点にも注意が必要です。構造としてすべてのパーツが一体化しているため、どこかの部分が故障したら、他の部分に問題はなくても、本体ごと修理に出さなければなりません。故障したしたときに手間がかかるのは、一体型トイレのつらいところです。
タンクレス型のメリット
タンクレス型のトイレは、文字通りタンクがなく、さらにトイレ本体もそれほど高くありません。そのため、トイレ内の空間を広く取ることが可能です。スペースにゆとりが生まれ、トイレにありがちな圧迫感や閉塞感はそれほど感じず、ゆったりとした気持ちで過ごすことができます。
加えて、トイレが水道に直結しているのが、タンクレス型の特徴です。水道から水を引いているため、連続で水を流すことができるのは、タンクレス型ならではのメリットと言えます。タンク付きの場合、水がたまるまで1分ほど待たなければならないケースがあります。
タンクレス型のデメリット
タンクレス型には水をためる場所がないため、手洗いがついていません。その点は、不便に感じられるポイントと言えるでしょう。手を洗うためには、トイレの室内あるいは別の場所に手洗い場を設けることになるため、工事費用が追加でかかります。
そして、タンクレス型を選ぶ際に最も注意しなければならないのが、水圧の強さです。タンクレス型は、トイレが水道と直結した構造です。そのため、最低限の水圧がなければ水が流れず、詰まってしまうこともあります。高い場所では水圧が不足し、タンクレス型は設置できない可能性があります。
まとめ
今や、トイレのデザインや機能には多種多様なバリエーションがあります。快適に過ごすことができ、使い勝手の良さもあるトイレを作るためには、タンクの必要性や機能をしっかりと確認することが大切です。どんなトイレタンクがあるのか、できるだけ多く情報を集めて、自宅にピッタリのトイレタンクを選びましょう。
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