「狭いトイレをなんとかしたい」と考えている方や、築年数の経った住宅に多いタイプの狭いトイレを広くしたいと考える方は多く、特にご年配の方がトイレを使う場合など、狭いトイレ空間では動作がしづらくて危険なことも多々あります。
今回の記事では、狭いトイレを広く感じる快適な空間にするリフォームの方法について解説します。
狭いトイレの問題点やリフォームをするポイント

狭いトイレをリフォームする前に、まずはトイレという空間についての基本的な知識や、世帯ごとの必要な広さを理解して、最適なトイレリフォームを行いましょう。
トイレに必要な空間の大きさを知る
◇トイレに最低限必要な広さとは
トイレの機能を持たせるために最低限必要な広さは、壁から壁までの内寸が横幅80cm×長さ120cm程と言われており、畳数換算すると約0.6〜0.7畳くらいのスペースとなります。一般的に、便座に座った時に壁や扉に膝が当たらないように、膝から壁や扉まで50cm以上の空きスペースがあると、極端に狭さを感じさせないトイレ空間となります。
◇余裕のある広さ
ゆとりのあるトイレ空間にするには、具体的にどのくらいのスペースがあればよいのでしょうか。広さとして幅は80cm×長さは160cm程あると便座の立ち座りの動作がしやすくなります。空間に余裕があると動作のしやすさだけでなく、心のゆとりも生まれる快適な空間となります。
◇バリアフリーを考えた広さ
特に高齢者の住まわれる世帯では、手すり等の設置でバリアフリーを考慮したり、車椅子の使用を考慮したりする必要があります。具体的な広さとしては、幅120cm×長さ160cm程が最低限必要なスペースと言われています。
また、介助が必要な車椅子を想定する場合は、幅160cm×長さ160cm以上(坪数換算で1坪以上)の空間が必要となります。車椅子で入ることのできるスペースだけではなく介助者も同じ空間に居られる広さが必要になるためです。その場合、構造躯体から変更する大規模リフォームが必要となる場合があります。
狭いトイレの問題点
◇収納や手洗い器が設置しづらい
狭いトイレの問題点の中でも多い悩みとして、トイレットペーパーや掃除道具などの、備品をしまうスペースが取りづらいことが挙げられます。また、タンクに手洗い機能が付いていないトイレの場合、別で手洗い器を設置したいものの、設置するスペースが取りづらいことで悩むケースも多いようです。
◇小さなお子様のトイレトレーニングがしづらい
特に小さなお子様のいる世帯では、トイレの中で一緒にトイレトレーニングをする機会があります。トイレトレーニングをする際にお子様と一緒にトイレに入ると、狭くてドアを閉められない場合があります。また、便座以外でトレーニングできるように、おまるなどの備品なども置くスペースの余裕がないことも不便に感じられる要素のひとつです。
◇掃除がしづらい
トイレが狭いことで、便器の溝や配管など手が届かない部分が増え、掃除が行き届かなくなることもあります。トイレは清掃頻度が高い場所であり、小まめに手入れをすることで、清潔に保たれるべき場所です。掃除がしにくいという観点で、狭いトイレは広いトイレと比べて、不潔になりやすい傾向があります。
◇バリアフリーに対応しづらい
高齢者や車椅子を使用している方の居る世帯では、バリアフリーのために手すりを設置したり、段差を解消したりするリフォームをすることも多く、その際にトイレ内にもバリアフリー設備の設置を検討します。
しかし、狭いトイレ空間では手すりの設置場所が限られるため、必要な位置に設置ができないこともあります。また、車椅子でトイレに入る場合に、後からでは必要な広さが確保できないことがあり、構造躯体のリフォームも不可能な場合は新しくトイレを作る必要があります。
狭いトイレを広く感じる空間にする工夫
◇コンパクトタイプのトイレを選択する
狭いトイレを広く感じるためには、便器のサイズ選びによって工夫することが可能です。従来のタンク付き便器よりもコンパクトなタイプを選ぶことで、空間にゆとりが生まれ、広がりを感じることができます。
最近ではタンクが小さいタイプのものが一般的になってきているため、通常のトイレリフォームを行うことで、現状よりも空間を有効に活用できます。また、より空間に余裕をもたせるためには、タンクレスタイプのトイレを選択することもおすすめです。
◇トイレ内部の空間デザインを工夫する
空間に広がりを感じるための工夫として、個室全体を覆う壁紙を明るいデザインにすることが挙げられます。また、トイレットペーパーや掃除用具などの備品が目に触れる場所にあることで、狭く感じる原因にもなります。狭さを感じさせない空間にするためには、収納一体型のトイレに変更したり、隠す収納を設置したりすることで、できるだけ目に触れないようにすることがポイントです。
◇建具のデザインや機能を工夫する
扉を変更することで、空間を広く感じさせることも可能です。一般的に使われている開き戸の場合、前後にスペースが必要となるため、便器に干渉してしまうことがあります。また、トイレの外側に人や物があるとぶつかる危険性も否めません。おすすめは「引戸」か「折戸」です。
引き戸の場合は、扉の引き込み側に壁が必要となるため、設置条件が限られますが、前後に開閉スペースが必要ないため、最適な建具の一つです。折り戸の場合は開き戸と同じ扉枠スペースで交換が可能であり、開き戸よりも1/3程の省スペースで開閉が可能となるため、狭いトイレでも扉が邪魔になりません。
建物別トイレリフォームの注意点

戸建住宅やマンションの建物によって、トイレリフォームの注意すべき点が異なります。事前に自宅がどのタイプにあたるか確認することが重要です。
戸建住宅の場合
戸建住宅の場合、内装で広く見せる工夫やトイレ自体を交換するリフォームは、マンションよりも行いやすいです。戸建住宅は木造で造られていることが多く、構造躯体を検討した上でトイレ空間自体を広げることも可能です。また、予算が多く取れるのであれば車椅子対応のトイレにできます。
マンションの場合
マンションの場合、コンクリート構造で建物がつくられていることが多いため、空間を広げることが容易にできない可能性があります。室内側の壁がリフォームできる壁の場合でも、配管や電気配線が干渉し、希望の位置に便器を移動・設置ができないこともあるため、必ずリフォーム業者に確認してできる範囲のリフォームを提案してもらいましょう。
また、マンションの管理組合の規定により、配管の移設を伴うリフォームが限定されている場合があるため、リフォームを検討する際はマンションの組合規定をチェックすることを心がけましょう。
狭いトイレリフォームの費用相場

トイレリフォームについて理解を深めたところで、次にトイレリフォームの費用相場を解説します。費用相場を把握することで、リフォーム業者の言い値にならず、後悔のないトイレリフォームを行うことが可能です。
内装をリフォームする場合の費用相場
◇壁紙の変更の場合
トイレ空間の壁紙を新しくする場合、既存の壁紙の撤去処分と新しい壁紙を張る費用が必要になります。費用を抑えるためにDIYで検討している方もいらっしゃいます。しかし、よく使う空間だからこそ失敗しないようにプロに依頼することをおすすめします。
・既存壁紙撤去処分費用相場 2,000〜15,000円程
・新規壁紙施工費用相場 1,000〜1,500円/㎡程
例として、標準的な広さのトイレ(1坪)で14,000〜33,000円程を見込んでおくと良いでしょう。
◇収納の変更
トイレ内の収納量が足りていない場合は、収納ボックスや棚などを新たに設置することになります。目につきにくいよう対策することで広く感じることができます。
・吊り戸棚の費用相場 3〜4万円程
・キャビネットの費用相場 3〜6万円程
・ニッチ収納の費用相場 2〜5万円程
◇扉の変更
扉を新しくすることで、機能性も上がり、狭い空間も広く使うことができます。また、使い勝手の向上だけではなく、扉が新しくなることで、気分も明るく快適に過ごすことができます。
・開き戸から引戸への変更費用相場 10〜30万円程
・開き戸から折戸への変更費用相場 8〜15万円程
トイレをリフォームする場合の費用相場
古いトイレはタンクが大きく、狭いトイレ空間に圧迫感を与える原因にもなります。新しいトイレにすることで、省スペースで機能性も上がり、使いやすいトイレにすることが可能です。
◇省スペースタンク付きトイレへ変更
タンク付きのトイレでも、最近では省スペース設計のタンクが市販されているため、コストを抑えてトイレを変更したい場合におすすめです。省スペースタンク付きトイレの費用相場として15〜30万円程になります。
◇収納付きトイレへ変更
収納付きトイレは収納スペースも兼ねることができるため、より空間を広く見せることが可能です。収納付きトイレの費用相場として20万円〜になります。
◇タンクレストイレへ変更
3つの選択肢の中では一番コストが高くなりますが、このタイプはタンクがないため、最も省スペースで設置が可能です。手洗い器がついていないため、別途手洗いスペースが必要になることを考慮して計画する必要があります。タンクレストイレの費用相場は20〜40万円程になります。
空間をリフォームする場合の費用相場
◇既存のトイレの広さを大きくするリフォーム
戸建住宅の場合、構造躯体を検討することで空間自体を広げることができます。構造躯体から変更する大規模リフォームの費用相場は最低30万円〜になります。
◇新しくトイレを設置するリフォーム
狭いトイレに手を加えるのではなく、トイレを新設するリフォームです。特にバリアフリー対応や車椅子での出入りに対応する場合に、必要な広さを確保できないことがあります。ご年配の方が過ごす部屋に隣接する形で新たにトイレを設置したりするケースや、トイレのない2階に新たに設置したりするケースがあります。新しくトイレを設置するリフォームの費用相場は、最低70万円〜になります。
まとめ
今回の記事では狭いトイレをリフォームする方法や費用相場について解説しました。新しいトイレにすることで快適な空間に生まれ変わり、日常のストレスを軽減できるようになります。毎日利用する設備こそリフォームを検討するべきではないでしょうか。
我慢して不便なトイレを使い続けることをせずに、ぜひこの記事を参考にしてトイレリフォームで快適な生活を手に入れてください。
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