庭やバルコニーの緑化のほか、ドッグランや室内のキッズスペースなど、人工芝の利用シーンは多岐にわたります。それだけに人工芝の種類も実は多彩にあり、人工芝を敷設する場合、見た目やコストだけで選んでしまうのは、ありがちな失敗につながります。キチンと知識を持っていないと、機能性や耐久性が下がってしまい、期待していた空間にはならない可能性も高くなるでしょう。
この記事では、人工芝の選び方について、いくつかのパターンに分けて解説します。快適で美しい空間を作り出すためにも、ニーズに合った人工芝を選ぶ方法をぜひ知っておいてください。
人工芝の選び方① 敷設タイプ

人工芝は、施工方法によって大きく2タイプに分けられます。それぞれの特徴とメリット・デメリットについて、解説します。
ロールタイプ
長いシート状の人工芝で、ロール型に巻いて販売されているためロールタイプと呼ばれる製品です。カーペットのように設置場所に合わせて拡げ、敷地の形に合わせてカットして敷設していきます。継ぎ目のないシートで覆うため、広い範囲へ施工する場合や、四角形以外の形の敷地で敷設する場合に適しています。その反面、施工するには整地や正確な調整・カットに技術力が必要となるため、DIYでの施工は難しいと言えるでしょう。
ジョイントタイプ
一辺が30センチ四方のタイル状に加工された人工芝です。タイル同士を結合させるジョイントがついている製品も多く、施工は組み合わせて敷き詰めるだけと手軽に敷設できます。一方で、頑丈な下地部分まで一体型となっているケースが多いため、設置場所の形状に合わせた正確なカットが難しいことが懸念点です。そのため、ベランダなどもとから四角形のスペースを覆う場合や、庭の一角に部分的な人工芝スペースを設置する場合に適しており、広い範囲や複雑な形状の敷地には不向きと言えます。
人工芝の選び方② 芝色
設置する場所やデザインに応じて、芝の色も考慮する必要があります。代表的なパターンを例に、解説します。
均一で鮮やかなグリーン
均一なグリーンの人工芝は、色鮮やかできれいに見えることが大きなメリットです。ただし、草木の多い庭に敷くと、冬でも鮮やかすぎるグリーンを維持して不自然な印象を与えてしまいます。また、屋外で使用していればどうしても雨や泥が付着するため、こうした汚れが目立ってしまうという性質があります。室内やベランダのアクセントなど、インテリア目的で設置する場合に適しているでしょう。
夏色グリーン
比較的鮮やかなグリーン、かつ自然な風合いを再現したものは「夏色」といった製品名で表現されています。葉の色が均一ではない天然の芝生に近づけるため、濃いグリーンと薄いグリーンを混ぜて製造された製品です。季節に関わらず青々とした緑の人工芝となるため、常緑樹が多く植えられており、明るい庭を演出したいといった場合に適しています。
春・秋色グリーン
ところどころにブラウンやベージュを組み合わせることで、枯れた芝が混ざっている様子を再現した人工芝は、「春・秋色」と呼ばれます。色合いがソフトで自然な印象が強くなるため、季節で様子の変わる落葉樹が植えられている庭にもマッチする製品です。
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青・赤・黄など
人工素材という特性を活かして、自然な芝生ではありえないカラーの人工芝も展開されています。ビビッドな原色や白・黒といったカラーは、店舗のロビーなどに敷けば印象的な空間になりますし、異なるカラーの人工芝と組み合わせることで模様やデザインをつけることもできます。ただし、外からも見える庭で奇抜なカラーの人工芝を一面に敷設するといった場合には、景観の面で近隣への配慮も必要となるでしょう。
人工芝の選び方③ 芝(パイル)の長さ

人工芝の本体とも言える、草を再現した部分は「パイル」と呼ばれます。さまざまな長さの製品があり、用途に応じて選択する必要があります。
短芝(20mm以下)
短めの芝はクッション性が低く、サラッとした感触です。その分、ゴミや汚れが芝の間に入り込みづらく、掃除がしやすく歩きやすいと言えるでしょう。ベランダや室内のほか、ゴルフのパター練習スペース、イベント会場や工事現場での養生などに利用されます。
中芝(20mm~30mm)
少し長めの芝丈は、ふわふわとした感触があり、自然な見た目が特徴です。樹木があっても調和しやすいため、一般住宅で庭の全面を広く覆うといった場合にはこの長さが選択されるでしょう。また、適度にクッション性もあるため、子ども用のプレイスペースなどに活用されています。
長芝(30mm以上)
芝丈が長いほど、クッション性は高くなります。そのため長めの芝丈は、サッカー場や野球場などのスポーツ施設で利用されることが多い製品です。ただし芝が長い分、折れたり倒れたりもしやすく、またゴミが入り込むと絡まって取れなかったりと、整備が難しい面もあります。住宅で敷設する場合には、注意が必要です。
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人工芝の選び方④ 素材
人工芝の素材は、耐久性やクッション性といった機能面に加えて、見た目に影響します。また、素材によって価格も前後するため、用途と予算の両面を考慮して選択する必要があるでしょう。
ポリエチレン(PE)
耐久性や価格のバランスが良いため、一般家庭で人工芝を使用する場合には最も選択されることの多い素材です。ポリエチレンは紫外線による色あせに強く、水を吸わないためカビも発生しにくいことから、屋外で敷設する場合に適しています。ただし熱に弱く、70℃~80℃で柔らかくなり、100℃付近では融けてしまう可能性があります。そのため、直射日光の当たる屋上や障害物のない広い場所の設置には、あまり向いていません。
ポリプロピレン(PP)
高い耐久性が特徴で、重さや紫外線、熱や薬品に対しても強い素材です。スポーツ施設でよく利用されているのは、このポリプロピレンの人工芝でしょう。耐久性が高い一方で、感触は非常に固く、見た目はつやがあり人工的な印象が強いため、一般家庭では駐車場などで限定的に使用されるケースが多く見られます。また、コストも比較的高めです。
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ナイロン
ナイロンは柔らかく加工が容易なため、古くから人工芝に活用されてきた素材です。服にも使用されるような柔軟性がある分、敷設する際も下地にフィットさせやすいことが特徴です。ただし耐久性が低く、水を吸ってカビが発生することも多いため、屋外での設置には向かないという点に注意する必要があります。
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おすすめの人工芝の活用方法

人工芝の選び方について、いくつかの視点を解説してきました。用途を考えながら選ぶシーンをイメージしやすくなるように、具体的な人工芝の活用方法についても例を紹介します。
ベランダやテラス
天然芝と比べた場合に人工芝の大きなメリットは、土がなく植物を直接植えられない場所や狭いスペースでも、緑豊かな雰囲気を演出できることにあります。ベランダやテラスに人工芝を敷設すると、歩いた時の感触も良くなります。こうしたシーンでは、鮮やかなグリーンで、掃除のしやすい短芝タイプがおすすめです。また、ジョイントタイプであればDIYで手軽に施工することもできます。
庭のアクセント
天然植物の芝生に比べて、人工芝は維持に手間がかかりません。観葉植物に囲まれた部分に人工芝エリアを配置することで、過ごしやすいリラックススペースを設けられます。庭であれば植物となじみやすい中芝タイプ、春・秋色が適しています。
子ども用のプレイスペース
柔らかくクッション性のある人工芝を敷くことで、転んだ時の衝撃を和らげケガしにくいスペースにできます。人工芝の下にクッションパッドを入れることで、さらに安全性を高めることもできます。室内に設けるのであれば、柔らかめのポリエチレンかナイロンの中芝が適しているでしょう。
壁面緑化
近年は、人工芝を地面ではなく壁面に設置する活用例も増えています。室内で部分的なアクセントとすることで印象的な空間にしたり、庭を囲む壁を人工芝で緑化することで太陽の輻射熱がこもりにくいスペースにしたりできます。また、グリーンカラーが視界に入ることによるリラックス効果も期待できるでしょう。掃除の手間や踏みつけられた場合の耐久性を考慮しなくて良いため、デザイン性を重視して長芝タイプや葉の形の再現性にこだわった製品を選べます。
ドッグラン
広々とした空間で走れるようなドッグランは、飼い犬が適度にストレスを発散して健康的に暮らしていける効果が期待できます。人工芝を敷設すると滑りづらくなるため、力いっぱい走っても足や間接への負担を抑えられるでしょう。こうした用途には、価格と耐久性のバランスが良いポリエチレン製で短めの人工芝が適しています。
人工芝をきれいに施工するポイント
人工芝の敷設はDIYでも可能ですが、きれいに施工するには専門技術が必要です。ここで解説したポイントを考慮して、難しそうだと感じた場合や広い範囲に施工する場合には、業者に依頼することをおすすめします。
下地はきれいに整備する
人工芝の設置場所が土の上である場合は、石や雑草をきめ細かく除去し、凹凸がなくなるようきれいにならす工程が、最終的なできあがりを大きく左右します。またコンクリートなどの上に敷設する場合は、必要に応じて排水経路を設ける必要もあるでしょう。これらの整備がしきれていないと、敷設後に浮き上がってしまったり水たまりができてしまったりして、機能性や耐久性が落ちることはもちろん、転倒事故などにつながるリスクも高くなってしまいます。
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正確な計測とカット
広い範囲を人工芝で覆う場合、ロールタイプの人工芝を選ぶことになりますが、必ず設置場所の形状や障害物に合わせてカットする必要があります。隙間が空いてしまったり、カットした人工芝の方が敷地よりも大きかったりすれば、足元が波打ったりズレたりする原因となるため危険なスペースとなってしまうでしょう。また、きれいな見た目にするためにはパイルの先端を切り落とさないよう丁寧にカットしたり、細かく調整したりすることも欠かせません。
強固に固定する
人工芝が動いたり風でめくれあがったりしないように、ピンや接着剤で全面的に固定することが大切です。ただし、接着剤を使えばその痕跡が下地に残ってしまいます。さらに、土に固定ピンを打ち込む際に、埋設されている電気ケーブルを傷つけてしまうといった事故が発生するリスクもあります。
まとめ
人工芝の選び方には、意外と多くの観点があると感じられたのではないでしょうか。きれいに維持していくためにも、その用途を考えながら敷設タイプ・色・芝丈・素材の組み合わせを選ぶことが重要です。また、施工には知識と技術がなければ、ケガしやすい空間になってしまうといったリスクについても紹介しました。快適で魅力的な空間を作るために、しっかりと人工芝の知識を深めてから選んでみてください。
カインズでも、店舗やオンラインストアで人工芝を取り扱っているほか、人工芝のリフォーム工事も承っています。店頭のリフォーム相談カウンターやWeb、電話などの窓口からお気軽にご相談ください。
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