湿気を外に排出する浴室換気扇は、日常生活に欠かせない住宅設備の一つです。浴室換気扇にも寿命があり、時期がきたら交換しなければなりません。換気能力が衰えているまま使用すると、十分に湿気を排出できず、カビや悪臭が付着する恐れがあります。
この記事では、浴室換気扇の交換タイミングや交換費用などを解説します。浴室換気扇の交換を請負う業者も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
浴室換気扇の交換タイミングとは?
消耗品である浴室換気扇の耐用年数は、一般的に8~15年とされています。耐用年数とは、国が「資産価値がなくなる期間」として法的に定めた年数のことです。浴室換気扇は、ホコリ・ゴミ・モーターのズレ・サビなどが原因で、少しずつファンやモーターが劣化していきます。動いているうちは劣化に気づきにくいですが、以下の症状が出た場合は換気能力が落ちているため、交換のタイミングといえます。
異音がする
異音が聞こえる場合は、そろそろ交換のタイミングです。異音の種類によって、劣化箇所や内容が異なります。以下で異音の種類と考えられる症状を紹介します。
湿気によってモーターやファンに、サビがこびりついているかもしれません。浴室換気扇から異音がした場合の最も多い原因といわれています。窓から浴室に風を通しておけばサビを予防することはできますが、長く使っていれば水滴によってサビがつく場合があります。とくに、モーターのサビが原因の場合は、浴室換気扇が動かなくなる可能性があるので、早めに交換しておきましょう。
モーターの軸のズレや外れ、あるいは破損や変形が原因となっている可能性があります。そのまま使い続けると故障に発展するため、早めの修理や交換をおすすめします。
モーター内部のオイルが不足している可能性があります。こちらはモーターの回転軸に、ホームセンターなどで購入できる「長期潤滑油」を塗れば解決することが多いようです。
ホコリが溜まっているため、取り除きましょう。浴室換気扇のカバーからホコリが見えている場合は、内部にかなりのホコリが溜まっていると考えられます。放置すれば浴室にカビが生える原因にもなります。
フロントカバーが外れかけているかもしれません。カバーを正しくはめ込むだけで解消されるため、確認してみましょう。
異臭がする
浴室や排水口を掃除しても異臭が消えない場合は、掃除がしにくい浴室換気扇のファンにカビが発生している場合があります。カバーを取り外せるタイプの換気扇であれば、自分でファンを掃除することも可能です。カビの再発を防ぐために、掃除後はパーツをしっかり乾燥させるのがポイントです。
カビを放置していると劣化を加速させて、浴室換気扇を回すたびにカビの胞子が浴室内に飛散します。カビは健康にも悪影響を及ぼすため、掃除をこまめに行いましょう。
振動がある
以前よりも振動が大きいと感じる場合は、浴室換気扇内部にあるホコリやサビが原因かもしれません。ダクトを固定するボルトの歪みやファンの一部が破損している可能性も考えられます。ダクト内のボルトの緩みやファンの破損といったトラブルは自分で解決するのは難しいため、業者に相談して交換してもらいましょう。
ファンの回転音が大きくなった
浴室換気扇の音が急に大きくなることがあります。これもホコリやゴミなどの汚れ、もしくはモーターの故障や劣化が原因です。汚れが原因であれば、掃除することで解消できます。しかし、掃除をしても回転音が大きいままであれば、モーターの故障や劣化が起きているかもしれません。故障する前に交換することをおすすめします。
風量や換気のパワーが弱い
ファンが回っていても、浴室の湿度や臭いが変わらない場合は、ファンの回転スピードが遅くなっている可能性があります。ホコリやゴミが原因ならば掃除によって解消されますが、モーターやファンの破損やサビが原因であれば交換が必要です。モーターやファンの交換は専門知識が必要なので、DIYではなく必ず業者に依頼してください。
電源を入れても動かない
電源を入れても動かない場合は、寿命を迎えた可能性があります。寿命を迎えた浴室換気扇は修理をしても稼働しないため、新しい製品に交換しましょう。設置してからあまり年数が経っていない場合は、電気回路に異常が起きている場合があります。むやみに触らず、業者に点検を依頼してください。
浴室換気扇を交換する必要性
「異音や振動があっても使えている間は大丈夫」と放置すると、浴室換気扇の本来の機能性が発揮されず、使っても意味ない状態になることも少なくありません。ここでは、浴室換気扇を交換する必要性を解説します。
カビの発生を抑える
浴室はお湯を使うことで高温多湿な状態になり、湿気を好むカビが繁殖しやすくなります。カビの発生を抑えるには、日頃から掃除したり換気したりすることが大切です。浴室換気扇を回すことで空気が循環され、浴室内の湿度を低く保つことができます。湿度を低く保てればカビの発生を抑えることにつながるため、浴室換気扇は24時間稼働しておくのがおすすめです。
悪臭を抑える
浴室は石鹸の残りカスや髪の毛、皮脂などが付着しています。これらは時間とともに悪臭に変わり、快適な入浴タイムの邪魔をしかねません。浴室は密閉空間になりやすいため、悪臭がこもりがちになります。ゴミを取り除いて磨き掃除をすることも大切ですが、換気も必要です。換気をすることで悪臭が緩和され、快適な浴室空間を保てるようになります。
家を長持ちさせる
湿気やカビは浴室を劣化させてしまうのはもちろん、住宅の建材に悪影響を及ぼす可能性があります。とくに木造住宅の場合は、湿気やカビに晒されると劣化が早まるので注意が必要です。湿気やカビの発生を抑えるには換気が効果的ですが、不具合が起きている浴室換気扇では不十分です。換気のパワーが弱まると、十分に空気が循環しません。浴室だけでなく住宅全体を長持ちさせるためにも、新しい浴室換気扇に交換することをおすすめします。
浴室換気扇の種類と特徴

浴室換気扇は、「ファン」の違いによって大きく2種類に分けられます。それぞれの特徴をご説明します。
シロッコファン
シロッコファンとは、細長い板状の20枚の羽根が円筒形状に取り付けられたファンのことで、ダクトを通して湿気や空気を排出する浴室換気扇です。浴室換気扇が外に直接つながっていなくても問題ないため、天井など場所を選ばずに設置できます。風の影響を受けにくいので、音も少なく静かであることが利点で、ユニットバスでよく使用される浴室換気扇です。一方で、ファンにホコリやゴミがつきやすいことが難点。また、ファンが薄いので掃除の際に手を切らないようにご注意ください。
プロペラファン
プロペラファンとは、扇風機のように5~6枚の羽根で回る昔ながらの浴室換気扇です。外壁部に取り付けるため、浴室の湿気や空気をそのまま外に排出します。ファンの数が少ないので掃除も楽にできます。大きな利点は、外に直接つながっていることでシロッコファンより強い風量で換気ができることです。一方、風の影響を受けやすく、ファンの音が大きく響く難点があります。そのため、強風が吹く高層住宅よりも、戸建て住宅に適した浴室換気扇といえます。
浴室換気扇の交換方法と交換費用の相場は?

浴室換気扇の交換方法と交換費用をご紹介します。浴室換気扇の交換にかかる費用は一般的に7~10万円が相場とされています。交換費用は「新しい換気扇の種類」と「ダクト工事の有無」によって変動します。費用相場の内訳としては、換気扇の本体価格が1万円~4万円程度、交換工事の費用が2万円~4万円程度、諸経費が1万円~2万円程度です。できるだけ交換費用を安く抑えるなら、見積書の浴室換気扇の本体価格を調べて、複数の業者から相見積もりをとることをおすすめします。
浴室換気扇交換は自分でできる?
浴室換気扇の交換には、電気工事士免許が必要な場合があります。電気工事士の資格がなくても行える工事範囲は、電気工事士法施工規則第一条によって定められた「軽微な工事」です。軽微な工事とは、600V以下で使用する差し込み接続器やソケットなどの取り扱いに限られます。つまり、コンセントに直接つなげるタイプであれば、法律上では自分で作業することも可能です。
しかし、電源部分を触る電気工事やアース工事を行う場合は免許が必須です。もし電気経路に異常があれば、新品を取り付けても動かない場合があります。専門知識や資格がないと故障の原因も特定できないため、はじめから専門業者に依頼するのが得策です。
浴室換気扇の交換方法
壁に設置してコンセントにプラグを差し込むだけのプロペラファンは、自分で簡単に交換することができます。大規模な工事はほぼ不要ですが、プラグを差し込むのではなく電源線と直結するタイプのプロペラファンを交換する場合は、電気工事士の免許が必要です。
天井の設置工事のほか、電気配線やダクト設置といった作業が必要です。電気配線などが必要な電気工事は、漏電・感電・ショートなどのリスクがあるため、電気工事士の免許を持つ業者に依頼しましょう。
交換費用の相場
以下は、浴室換気扇の劣化や故障によって、本体を丸ごと交換する場合の費用相場です。
換気扇本体の価格(プロペラファンの場合)/1万円前後
換気扇本体の価格(シロッコファンの場合)/3万円~4万円
浴室換気扇の交換作業費/2万円~4万円
諸経費(交通費、販管費など)/1万円~2万円
モーターの破損など、異常が見られる部品のみの交換で済む場合もあります。全交換よりも費用を安く抑えることができます。
換気扇モーターのみの交換費用/3万円~4万円
ダクト側の換気ファンの交換/2万円~3万円
タイマースイッチの交換/3万円~4万円
浴室換気扇の交換はどこに頼む?業者ごとのメリット・デメリットを紹介

浴室換気扇の交換は、自分で行わずに業者に依頼することをおすすめします。浴室換気扇は漏電のリスクがあるため、電気工事士の免許を持つ人にお任せしたほうが安全です。ここでは、浴室換気扇の交換に対応できる業者と、それぞれに依頼するメリット・デメリットをご紹介します。
街の電機屋さん
自宅の近くに店舗がある街の電機屋さんは、困ったときの頼もしい味方です。依頼すればすぐに自宅に来てくれる対応スピードの速さが一番のメリットでしょう。また、街の電機屋さんは電気工事の知識があるため、安心してお任せできます。
デメリットは、浴室換気扇そのものの取り扱いがなく、修理や交換に対応していない場合があることです。また、家電量販店やホームセンターとは異なり、販売価格が定価に近いことがほとんどです。
家電量販店やホームセンター
浴室換気扇の品揃えが豊富で、展示している実物を見ながら選べることが大きなメリットです。また、販売価格の安さも魅力となります。個人経営の電機屋さんと異なり、大量仕入れによる販売価格の値引きが可能で、型落ち製品のセールも頻繁に行われます。購入時にポイントが付与されることも大きな特典といえるでしょう。
デメリットは、在庫の取り寄せに日数がかかる場合があることです。また、交換の際に電気工事士の免許が必要な製品は、業者に依頼する必要があり、業者のスケジュールによっては交換まで待たされることも珍しくありません。
リフォーム会社
浴室換気扇だけではなく、住宅や浴室の構造に関する専門知識が豊富です。そのため、自宅の浴室に適した換気扇選びのアドバイスをもらえたり、よりよい工事プランを提案してもらえたりするメリットがあります。住宅リフォームの専門家なので、交換後の仕上がりもキレイで、「依頼してよかった」と満足できるでしょう。
デメリットは、オプション工事や付属品追加、住宅リフォームを提案される場合があることです。提案を断れない人にとっては想定外の出費をしてしまうかもしれません。
まとめ
浴室換気扇の音が変わったり、動かなくなったりした場合は交換が必要かもしれません。浴室換気扇が使えなくなると、浴室内に湿気が充満します。湿気がたまるとカビが発生しやすくなり、浴室全体に悪影響を及ぼします。異変を見つけたら、まずはプロに相談しましょう。
カインズ・リフォームでは、浴室換気扇リフォームの相談を無料で受け付けております。製品のご提案はもちろん、気になる費用についても無料でお見積りが可能です。浴室換気扇に異常が見られたら、お気軽にお問い合わせください。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。