住み始めたときはきれいな外壁も、年数が経つにつれて雨や紫外線、排気ガス、花粉などにさらされ、汚れてしまいます。汚れに気がついたとき、自分で外壁を掃除しようとお考えの方は多いと思います。外壁が汚れたまま放置していると、ひび割れや浸水といったトラブルを引き起こして、大規模なリフォームが必要になるかもしれません。予定外の出費を避けるためにも、定期的な外壁掃除が必要です。
今回は、外壁掃除の具体的な方法や必要な道具、外壁をきれいに保つためのポイントを紹介します。
外壁の汚れはトラブルの原因に!外壁掃除の必要性について

外壁をきれいに保ちたいものの、掃除は大変だと感じる方も多いでしょう。見た目を損なう以外にも、外壁の掃除をすべき理由はあるのでしょうか。
住まいの寿命を縮める原因にもなる外壁汚れ
外壁の汚れを放置していると、ひび割れや塗装が剥がれる原因となり、雨水の浸水を引き起こす可能性があります。外壁に塗布されている塗料には、防水性能や紫外線を遮る機能などが含まれていますが、汚れが蓄積したり、塗料の剥がれた部分を放置したりすると、本来の機能を発揮できなくなってしまいます。ひどい場合には、外壁内部の木材にまで雨が達して、腐食してしまう可能性もあります。範囲が広くなるほど大きな修理費用が必要になるため、十分な注意が必要です。
定期的な外壁の掃除が快適な生活に欠かせない
外壁を劣化させる汚れは、異物が付着して化学変化したものが一般的です。代表的なものとしてあげられるのが、ホコリ、排気ガス、花粉、カビ、コケなどです。
黒い汚れや茶色い汚れのほとんどは、ホコリや排気ガスによる汚れです。
スギ花粉が飛散する春先や中国から飛んでくる黄砂も、汚れの原因です。雨にぬれて固形化して付着します。
湿度の高い場所や風通しの悪い壁面などで汚れの原因となるのが、カビ・コケ・藻などです。
これらのような一般的な汚れの原因も、初期の段階では決して除去が難しいものではありません。定期的に取り除くのがベストな方法です。
外壁掃除は難しくない
外壁掃除は、自分でできる住宅メンテナンスの1つです。市販の道具を使って、自分でも行ってみることをおすすめします。外壁専用の洗剤も販売されていますが、簡単に手に入る中性洗剤でも十分に応用できます。ホコリや花粉など、汚れの原因には、水溶性のものが多くありますから、水洗いだけでも洗浄効果が期待できます。可能な部分から手軽にはじめてみてください。
※中性洗剤は植物に良くないものもあるので、近くに植栽があると注意が必要です。
定期的に外壁掃除を行うメリット
外壁掃除を定期的に行うことで、塗装工事よりも低価格でスピーディーにきれいな外壁を復元できます。塗装工事は基本的に業者に頼む必要があり、相場は100万円ほどと高額です。しかし、外壁洗浄はDIYでも行えるので、思い立ったときにすぐ実施できます。掃除に必要な道具も基本的には身近なものばかりなため、費用も大幅に抑えられます。年に1〜2回程度の頻度で掃除することで、新築のようなきれいな外観をキープできるでしょう。
外壁の汚れの原因と仕組み
一口に外壁の汚れといっても、原因はさまざまです。主な汚れの原因について、解説します。
排気ガスや花粉が汚れの原因に
屋外を舞っているホコリや排気ガスに含まれる物質が外壁に付着・蓄積して、化学変化してしまったり、色素が移ってくすみ・黒ずみになったりします。汚れはじめの段階では水洗いも効果が見込めます。
雨だれで劣化する壁面
水が流れる場所で起こるのが、雨だれを原因とした汚れの付着です。ホコリなどが雨水に流されて、汚れとしてこびりつくケースが多くあります。大気中の油汚れが壁面に吸着してしまい、水洗いだけでは汚れが落とせないこともあるようです。
カビやコケにも注意
水辺や山林が近く、湿度が高い立地の住宅で起こるのが、カビやコケの発生です。胞子が外壁に付着して、汚れから栄養分を吸収して成長してしまうのが原因となっています。
紫外線による経年劣化
塗装面が剥げて下地が露出していると、紫外線による劣化が発生します。本来であれば塗料が防いでくれていた雨水などが浸水して、防水効果がなくなってしまうほか、ひどい場合には外壁の表面が崩れ落ちるなどのリスクがあります。
外壁掃除のやり方は?

外壁の汚れが気になる場合、どのように掃除をすればよいのでしょうか。掃外壁除の手順を5段階に分けて紹介します。
【step1】まずは掃除道具を用意
まずは、外壁掃除に向けて準備する道具リストを紹介します。
基本の掃除道具
- 養生テープ
- 雑巾
- スポンジ
- ブラシ(毛先の柔らかいもの)
- 歯ブラシ
- ゴム手袋
- 水道ホース・シャワー
外壁掃除は、基本的に水洗いで十分です。外壁を保護する塗装の膜(塗膜)を傷つけてしまわないよう、スポンジや雑巾などの柔らかい道具から使っていきます。
必要に応じて用意する掃除道具
汚れの程度によっては、水洗いだけでは落ちないこともあります。がんこな汚れがある場合は、次のような道具を用意しておきましょう。
【step2】作業場所を養生
作業する前に、水が浸入してはいけない部分を養生テープなどでマスキングしておきましょう。とくに電源コンセントは、十分な注意が必要です。水がかかってしまうと、電気回路がショートしてしまったり、部品が故障してしまったりして、最悪の場合は漏電・発火といった事故が起きるリスクがあります。
また、パネルとパネルのつなぎ目などに施してあるコーキングも、できれば水にぬれないよう注意してください。ぬれてしまった場合は、雑巾などで拭き取って、必要以上にぬらさない工夫をするのがベターです。
【step3】まずは水洗いが基本
外壁の種類に応じて掃除方法は異なりますが、今回は多くの一般住宅の外壁として使用されているサイディングを想定して紹介します。
まずはホコリや花粉、砂などを物理的に流し落とすために、水洗いを行いましょう。化学洗剤などを使っても、ホコリが残っていると固形化してしまうなど、掃除が逆効果になってしまうリスクもあります。しっかりと水洗いしておけば、後の工程も楽になるため、丁寧に洗い流すとよいでしょう。
洗浄作業では、スポンジや雑巾などの柔らかい道具から使っていくのがポイントです。スポンジではどうしても落とせない汚れなど、吸着具合や付着度合いに応じて道具を変え、できるだけ外壁にダメージや跡が残らないよう配慮しましょう。大きなブラシや道具では洗いにくい部分も、歯ブラシなどを上手く利用して細かく掃除しておけば、仕上がりも美しくなります。
【step4】目立つ汚れには洗剤や専用薬品を使用
水洗いではどうしても落ちない汚れは、無理にこすって落とそうとするのではなく、洗剤を活用しましょう。外壁掃除に使う洗剤を大きく分けると、中性洗剤、外壁洗剤、専用薬品の3種類です。汚れの種類によって使い分けることで、きれいに落とせます。
- 中性洗剤:土ぼこり、軽度な雨だれによる汚れ
- 外壁洗剤:水アカ、コケ、排気ガスによる汚れ
- 専用薬品:汚れが酷くなりカビになったもの
カインズでも、外壁汚れ専用のオリジナル洗剤を販売しています。カインズの外壁洗剤はスプレータイプなので、汚れがある箇所に直接噴射し、ブラシでこすってから水で洗い流せばOKです。ただし、目地は傷つきやすいので、ブラシではなく雑巾で優しく拭き取るようにしましょう。また、洗剤には強力なものが多いため、かならずゴム手袋を着用して扱うようにするのもポイントです。
【step5】がんこな汚れは高圧洗浄機で落とす
もしご家庭に高圧洗浄機があれば、作業効率を大幅にアップできるでしょう。ブラシでこすっても落ちにくいコンクリートに生えた黒カビなども、高圧洗浄機を使ってきれいに掃除できます。手作業では落とせない汚れにも対応できるため、余裕があれば揃えておきたい道具です。
高圧洗浄機は、動力によって特徴が変わってきます。ガソリンエンジンは、水圧が高く電源が届かない場所でも使えますが、音が大きく重いのが難点です。インダクションモーターは、音が小さく耐久性が高いのがメリットですが、50Hz用(東日本用)と60Hz用(西日本用)があります。自分の住む地域の電源周波数にあったものを選びましょう。また、ユニバーサルモーターは価格がお手頃ではあるものの、音が大きく耐久性が低いことがデメリットです。
高圧洗浄機を使用する際は、20〜30cm離れた場所から噴射します。このとき、1箇所にかけすぎないよう注意しましょう。水が周囲に飛び散るため、敷地内外をしっかり養生しておくことが重要です。
高所作業は無理せず専門業者に依頼
DIYで外壁掃除をする場合、できる範囲内にとどめておくことが大切です。二階部分など高所での掃除には、専用の足場が必要ですから、決して無理な方法で作業してはいけません。安全が確保できない場所を素人が掃除するのは事故の原因です。高所などは、専門業者に依頼するのが無難といえるでしょう。
手が届く範囲だけでも掃除しておけば、見た目にも美しくなり、満足感が得られます。普段からこまめに手が届く範囲を掃除しておき、年に1度程度のペースで専門業者に、手が届かない箇所まで掃除してもらうのがよいでしょう。
美しい外観を保つための外壁の汚れ対策

汚れてから掃除するだけでなく、外壁をきれいに保つための予防策があればやっておきたいところです。外壁の汚れ対策について、紹介していきます。
塗装が剥げた部分はしっかり補修
外壁の塗装には、防水効果があるだけでなく、汚れを落としやすい性質や紫外線から下地を守る性質などが含まれています。塗装が剥げてしまった部分や塗装が薄くなった部分があれば、しっかりと補修するのが得策です。範囲が狭ければ、DIYでも十分に対応できるので、こまめに確認して補修すると長持ちするでしょう
高機能な外壁塗装がトレンド
光を媒体として汚れを防ぐ加工や、フッ素など浸食に強い成分を含んだ外壁塗装など、近年の外壁塗料は高機能化が進んでいます。施工会社が独自に研究・開発した高機能塗料も多く、そうした特別な仕様のものは一般の販売店などでは手に入りません。長く美しい住まいを維持するためにも、専門業者に依頼することをおすすめします。DIYレベルでは不可能な長寿命化が図れます。
こまめな掃除が有効
小さなホコリが壁面に付着して、化学変化することでしつこい汚れに変わっていきます。早期に洗い落とすためにも、定期的な掃除・メンテナンスが最も有効な維持方法といえるでしょう。大掛かりな掃除ができなくても、窓やサッシに溜まった汚れが雨水で広がらないように掃除しておくだけでも、十分な効果が期待できます。
外壁掃除を業者に依頼する際の選び方と注意点
業者に外壁の掃除を依頼するにあたって、確認しておくべきポイントや注意点があります。業者との打ち合わせで確認すると安心できるでしょう。
専門業者に依頼するのもおすすめ
日頃からこまめにメンテナンスしておくことが、外壁の寿命を延ばす秘訣です。一方で、必要に応じて専門知識を持った業者に補修やメンテナンスを依頼するのもおすすめです。また、外壁のひび割れや塗装の剥がれ、表面が膨らんでいる箇所が目立つ場合は、塗装そのものの塗り直しを検討するべきタイミングです。
面積だけでは計れない外壁掃除の費用
外壁の掃除では、高所での作業を可能にする足場の設置が必要です。そのため、単純に建物の大きさや壁面の面積だけでは、外壁掃除の費用を算出できません。専門業者による見積もりを取るのがおすすめですが、どの会社に依頼すればいいのか悩むケースもあるでしょう。まずは一括見積もりサイトなどを利用して、費用の相場や会社ごとの特徴を比較検討してみてはいかがでしょうか。予算やニーズに合った会社がきっと見つかるはずです。
外壁の塗り替えも検討を
築10年以上が経過していて、外壁にひびや破損がある場合、また塗装の剥がれなどが目立つ場合は、外壁全体の塗り替えを検討してみてください。外壁にはさまざまな種類がありますが、いずれもメンテナンスフリーというわけにはいきません。素材そのものや塗料には耐用年数があり、定期的な補修や塗り直しが必要です。
まとめ
自分ひとりで外壁を掃除することもできますが、外壁の素材に合わない方法では、外壁を傷つけてしまうかもしれません。また、二階部分など高所での作業は、専門の業者に依頼するのが無難です。外壁塗装には寿命があるため、10年以上再塗装していない場合やコーキング部分のひび割れ・劣化が目立つようであれば、塗装会社に相談してみてください。しっかりとメンテナンスすれば、いつまでもきれいなままの住まいを維持できます。早めに検討することをおすすめします。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。