窓ガラスといえば、無色透明な窓ガラスをイメージされる方が多いと思います。住宅に使用される窓ガラスは同じように見えても種類が豊富で、それぞれの機能や適切な用途は異なります。窓ガラスの種類によって、交換にかかる費用も大きく前後します。
この記事では、窓ガラスの種類・機能・費用・交換する際の手順についてご説明します。それぞれのバランスを考慮しながら、用途にあう窓ガラスを選択する際の参考にしてみてください。

窓ガラスの種類
住宅に使用される窓には、窓の場所や目的にあわせたさまざまなガラスが用意されています。ここでは代表的な窓ガラスについてご紹介します。
代表的なガラス
表面が平滑で歪みの少ない、ごく一般的な無色透明の窓ガラスです。
ガラスの片面にデコボコ模様をつけた不透明のガラスです。
ガラスの片面をけい砂で擦り、表面をザラザラと不透明に加工したガラスです。
化学処理をして、すり板ガラスのような意匠で、なめらかな風合いに仕上げたガラスです。
ガラスの中にワイヤーを入れて、防火性や耐火性を高めたガラスです。透明と不透明のタイプがあります。
フロートガラスに熱処理を加えて、急激に冷却することで強度を高めたガラスです。
2枚の板ガラスの間に、空気やガスを挟んで二重構造にした窓ガラスです。
窓ガラスの機能と交換費用
窓ガラスの機能と交換費用の相場(サイズ90cm×180cm)をご紹介します。
- フロートガラス(厚さ3㎜/約2万円~2万7000円)
採光性や透視性に優れています。一般的なガラスなので、在庫が豊富で取り替えもスムーズにできます。他のガラスよりも安価であることも魅力です。
- 型板ガラス(厚さ4㎜/約1万8000円~2万3000円)
フロートガラスと同等に光を通しますが、デコボコ模様によって光をやわらかく室内全体に採り入れることができます。
- すり板ガラス(厚さ3㎜/約1万5000円~2万円)
型板ガラスと同様に、やわらかい光を室内に取り入れることができます。型板ガラスは透け感が大きく、障子代わりに使われていたすり板ガラスは透け感がひかえめです。
- フロストガラス(厚さ5㎜/約4万5000円~5万5000円)
型板ガラスやすり板ガラスと同様に、光を透過・拡散させる効果があります。違いは意匠性の高さにあり、空間を上品な印象に演出できます。型板ガラスより目隠し効果が高いガラスです。
火災などによる加熱に一定時間耐えることができます。ガラスが割れた際も破片がワイヤーに引っかかって残り、火の粉の侵入や延焼を防ぎます。防犯性能に優れているように見えますが、ガラスに強度はありませんし、割れるとワイヤーを簡単に引きちぎることができるため、防犯効果は期待できません。
ガラスとガラスの間に空気やガスの層、特殊フィルムなどを挟んで、防音・断熱・防犯効果を持たせています。

シーンや目的別におすすめしたい窓ガラス
続いて、窓ガラスの機能から、シーンや目的にあった使い方をご紹介します。
プライバシーの確保に向いている窓ガラス
「型板ガラス」「すり板ガラス」「フロストガラス」といった不透明なガラスは、目隠しの機能があります。近づくにつれて窓ガラスの後ろにある対象物のシルエットが見えやすくなり、離れるにつれて見えにくくなります。「すり板ガラス」が最も見えにくく、次いで「フロストガラス」、「型板ガラス」となります。
いずれも洗面所やトイレなど外からの視線が気になる箇所の窓やドア、室内の間仕切りなどに使われています。ただし、「すり板ガラス」は水に濡れると透き通ってしまう性質があるため、浴室には不向きです。
防火地域に向いている窓ガラス
「網入りガラス」の網は、火災の際に火の粉の侵入や延焼を防ぐ機能を持ちます。また、火災時に割れたガラスの破片が飛び散らない利点もあります。そのため、都市計画法で火災の危険がある防火地域や準防火地域に指定されている地域の建物でよく用いられています。
なお、建築基準法では火を使う飲食店やガソリンスタンドの一部の窓で使用が義務付けられています。これらの理由から「防火設備用ガラス」と呼ばれることもあります。目隠し用の窓としても使われる「網入り型板ガラス」という網入りガラスもあります。
地震や台風が発生しやすい地域に向いている窓ガラス
「強化ガラス」は、一般的なフロートガラスと比較して3~5倍の衝撃や風圧に耐えられます。そのため、学校・商業施設・ビルなど、安全性が求められる建物や窓に使われています。住宅の用途としては、ガラス入りの玄関、地震や台風が頻発する地域で使われています。
万が一割れてしまっても、ガラスの破片が刃物のように鋭くならずに粉々の粒状になります。怪我をしにくいという点でも安心感のある窓ガラスといえるでしょう。
寒冷地に向いている窓ガラス
室内の熱の約半分は、窓から逃げていきます。断熱性がある窓ガラスを設置していないと、冬に暖房をつけても窓から熱が逃げてしまい、効率的に室内を暖めることができません。そのため、一般的なガラスよりも熱を逃がしにくい「複層ガラス」を使用することで、冬でもあたたかく過ごすことができます。
寒冷地では、現在 新築住宅では断熱性能向上を目的として「複層ガラス」が使用されています。その他、より断熱性能に優れた「Low-E複層ガラス」もあります。「Low-E複層ガラス」とは、ガラスの表面にLow-E膜といわれる特殊な金属膜(酸化錫や銀)をコーティングした複層ガラスのことです。窓ガラスから逃げていく熱の量を、一枚ガラスの約1/3、複層ガラスの約1/2に抑えることができます。

窓ガラスを交換する際の手順

窓ガラスの交換は業者に依頼することが一番安全ですが、自分で交換することも可能です。一見するとアルミサッシにガラスがどうはめ込んでいるのかがわからないかもしれません。ここでは「交換費用を丸ごと節約したい」という方のために、窓ガラスの外し方と交換方法をご紹介します。
窓ガラスの交換に必要な道具
実は、プラスドライバー1本で交換が可能です。サッシの穴の奥にネジがあるので軸が5cm以上あるドライバーを用意しましょう。電動ドライバーがあれば、より作業がスムーズに進みます。
作業をよりしやすくするための道具は、サッシを立てるときに床に敷く「毛布やバスタオル」、サッシの分解や組み立てで力を入れる際に重宝する「ハンマー」、ゴムパッキンを窓ガラスの周囲に巻くときにゴムパッキンを仮止めしておく「マスキングテープ」、手を保護する「軍手」です。
窓ガラスの交換手順
割れたガラスを放置しているのは危険です。まずは、サッシから割れたガラスを外しましょう。このときにサッシの構造をよく見ておくと、後に続く作業がスムーズに進められます。
必要なガラスのサイズは「ゴムパッキンの内側までの寸法」+「ガラスとサッシの重なりの寸法」です。「ガラスとサッシの重なりの寸法」は、1枚ガラスで上下あわせて12mm、左右あわせて12mmです。複層ガラスは、メーカーやサッシの種類によってサイズが異なるため、割れたガラスで厚さを測っておきましょう。
サイズと厚さを測ったら、オーダーカットのガラス屋さんに発注します。その際に「ガラスとサッシの重なりを足した寸法か、足していない寸法か」を伝えると正しい寸法のガラスを発注できます。複層ガラスの場合は、メーカーやサッシの種類を伝えて相談しましょう。
発注したガラスが届いたら窓枠レースからサッシを外します。網戸がついている場合は網戸から外しますが、外れ止めのストッパーがついている場合がありますので、プラスドライバーでネジを緩めて外しましょう。
サッシの縦枠にあるネジを外せば、サッシの枠はバラバラに分解できます。ガラスの周囲に巻いてあったゴムパッキンも外します。その後、新しいガラスにゴムパッキンを巻いてください。マスキングテープで仮止めをしながら巻くと作業がスムーズに進みます。
新しいガラスをサッシにはめ込みながら、サッシをもと通りに組み立てます。サッシと網戸を窓枠レールに戻したら交換作業は完了です。

まとめ
窓ガラスには、さまざまな種類・機能・用途があることを、ご理解いただけたのではないでしょうか。「目隠しをしたい」「内装のデザイン性を高めたい」など、住宅の中の気になる点を窓ガラスによって解決できる場合もあるでしょう。間取りやライフスタイルにあわせて賢く選択していただければと思います。

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