窓に結露ができてしまうエアコンが効きにくいといった理由で、二重窓の設置を検討している方は多いかもしれません。二重窓を取り付けることで、部屋の気密性や断熱性が高まり、快適な室内環境を整えることが可能です。設置する窓ガラスの種類によって効果が異なるため、ガラスの選び方も知っておくことが大切でしょう。
そこでこの記事では、二重窓を設置するメリット・デメリットや、施工の費用相場などをわかりやすく解説します。また、最適な窓ガラスの選び方も紹介しますので、設置を検討する際の参考にしてみてください。

そもそも二重窓とは?

二重窓とは、どのような構造の窓のことをいうのでしょうか。ここでは、二重窓の仕組みや設置できる条件について解説します。
二重窓(内窓・二重サッシ)の仕組み
二重窓とは、今ついている窓の内側(室内側)に、もう一つ別の窓を設置したものです。窓枠(サッシ)が二重になるという意味から二重サッシ、部屋の内側に窓が設置されるという意味から内窓と呼ばれることもあります。単純に窓が2つになるため、より外気を遮断しやすくなり、部屋の断熱性・保温性を高めることが可能です。既存の窓はそのまま残すことができるため、施工もしやすく、リフォームとして人気を集めています。
設置できる窓には条件がある?
二重窓を施工できる窓には、条件があります。それは、外側の窓が部屋の内側に干渉しないことです。例えば、観音開きのように手前側に引くタイプの外窓は、開閉時に内側の窓に接触してしまいます。そのため、二重窓には適しません。基本的に二重窓は、左右に開閉する引き戸の窓に設置するものなので、注意が必要です。

二重窓を設置するメリットとは?
二重窓を設置することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、大きく4つのメリットについて解説します。
(1)冷暖房が効きやすくなる
二重窓を設置することによって、外窓と内窓のあいだに空気の層が生まれ、断熱性が高まります。空気の層があることで、外の熱が室内に入りにくくなり、室内の熱が外へ逃げにくくなるのです。そのため、冷暖房が効きやすくなり、室内で快適に過ごせるようになります。結果的に光熱費の節約にもつなげられるでしょう。
(2)結露を防ぎやすくなる
結露ができる原因は、室内と室外の温度差です。水蒸気を含んだ部屋の暖かい空気が、窓で急激に冷やされることで、含みきれない水分を結露として放出します。つまり、結露を防ぐには、室内外の温度差を緩和させることが重要です。その点、二重窓を設置すれば外窓と内窓のあいだに空気の層が生まれ、外気が室内に伝わりにくくなります。その結果、室内と外の寒暖差を和らげ、結露の発生も抑制できるでしょう。
(3)防音対策になる
車の通行音や通行人の話し声など、外からの音はほとんどが空気を通じて、窓から室内に伝わります。その点、二重窓を設置することで部屋の気密性が高まるため、外から音が入ってくるのを抑制することが可能です。特に住宅が幹線道路沿いや飛行場の近くにある場合には、二重窓を設置することで騒音を和らげられるでしょう。
(4)防犯につながる
空き巣は窓から侵入してくるケースも多いため、防犯のためには窓への対策が必須です。二重窓を設置すれば、窓が2枚になるため簡単に破られなくなります。当然ながら鍵も2つになるため、泥棒側は開錠の手間が増え、侵入を諦めやすくなるでしょう。このように泥棒の侵入を防ぎやすくなり、防犯性が向上するのもメリットです。

二重窓を設置するデメリットとは?
二重窓を設置することによって、デメリットが発生するケースもあります。ここでは、大きく2つのデメリットについて解説します。
開閉・掃除に手間がかかる
二重窓で窓が2枚になることで、そのぶん開閉に時間がかかります。空気の入れ替えや庭への出入り、洗濯物の出し入れなどの際には、手間を感じるかもしれません。また、窓の掃除をする際にも、外窓・内窓の両方を拭く必要があります。そのため、二重窓を設置したばかりの時期は、面倒に感じることもあるでしょう。
部屋が少し狭くなる
二重窓を設置すると、新しい窓枠の厚さ(0mm~50mm程度)の分だけ室内のスペースが減る場合があります。微妙な差ではありますが、最初は圧迫感を覚えたり、部屋が狭くなったように感じたりするかもしれません。また、今までより手前に窓枠が置かれることになるため、慣れないうちは体をぶつけないよう注意が必要でしょう。

二重窓のガラスにはどんな種類がある?【お悩み別】
二重窓は、ガラスの種類によって効果が異なります。そのため、今抱えている悩みや課題に応じて最適なガラスを選ぶことが大切です。ここでは、代表的な6種類のガラスについて、それぞれの特徴・メリットを紹介します。
単板ガラス【価格を重視したい方向け】
単板(たんばん)ガラスとは、1枚のガラスだけでつくられた窓ガラスのことです。ガラス自体が3mm~6mm程度と薄いため、複数枚のガラスが組み合わさった窓ガラスと比べると、見た目の圧迫感を抑えられます。また、他のガラスより本体価格が安いため、予算の上限が決まっている方は単板ガラスが適しているでしょう。断熱性や遮熱性をより高めたい場合は、単板ガラスではなく、複数のガラスが組み合わされたタイプをおすすめします。
複層ガラス【コスト重視で断熱性を高めたい方】
複層ガラス(ペアガラス)とは、2枚のガラスを組み合わせてつくった窓ガラスのことをいいます。2枚のガラスのあいだ(中間層)には、一般的には、乾燥空気が、また、高性能仕様のものにはアルゴンガス、クリプトンガスなどが封入されています。ただし、防音性は単板ガラスとほとんど変わりません。
遮熱型Low-E複層ガラス【日射を防ぎたい方向け】
遮熱型Low-E複層ガラスとは、2枚のガラスでできた複層ガラスのなかでも、遮熱性に優れた窓ガラスのことです。2枚のガラスのうち室外側に特殊な金属膜がコーティングされており、日射熱を大幅にカットできます。日差しの熱が部屋に入りにくくなるため、紫外線による家具やカーペットの色落ちも防ぐことが可能です。もともと断熱性の高い複層ガラスなので、室内の冷気や暖気も逃げにくくなり、夏・冬ともに快適に過ごせるでしょう。
断熱型Low-E複層ガラス【室温を保ちたい方向け】
断熱型Low-E複層ガラスとは、2枚のガラスでできた複層ガラスのなかでも、断熱性に長けた窓ガラスのことです。2枚のガラスのうち室内側に特殊な金属膜がコーティングされており、部屋からの熱を逃がしにくくなります。冷房や暖房の効きが良くなるため、電気代の節約にもつなげられるでしょう。遮熱型Low-E複層ガラスと比べると日差しを通しやすいので、冬の日中はうまく太陽熱を取り入れながら温かく過ごせます。
合わせガラス【防音を重視したい方向け】
合わせガラスは、2枚のガラスのなかに防音フィルムを挟み込み、圧着させた窓ガラスのことです。防音フィルムを挟むことで、空気の振動や共鳴を防ぎ、低音から高音まで幅広い音が伝わりにくくなります。防音性が非常に高いため、車や電車、飛行機、犬の鳴き声などの騒音を防ぎたい場合に最適です。ただし、構造自体は単板ガラスに近く、断熱性はそこまで高くありません。遮熱性・断熱性を高めたい方は、複層ガラスが適しています。
真空ガラス【断熱性を最大限に高めたい方向け】
真空ガラスとは、2枚のガラスでできた複層ガラスのなかでも、中間層を真空にした窓ガラスのことです。ガラスとガラスのあいだが真空状態なので、理論上は熱の対流や伝導がほとんど起きません。構造そのものは、魔法瓶と同じといえます。断熱性が非常に高いため、部屋の中と外で温度差が起きにくく、結露を大幅に抑制することが可能です。さらに一般的な複層ガラスよりも中間層が薄いため、見た目の圧迫感も軽減できます。

二重窓の施工方法や費用相場とは?

二重窓を設置する際には、どのくらいの期間・費用が必要なのでしょうか。ここでは、二重窓の施工方法や施工にかかる期間、費用相場などについて解説します。
二重窓の施工方法・期間
二重窓の施工は、今ある窓の室内側に新しい窓を設置するだけで完了します。具体的には、窓枠の取り付けガラス障子のはめ込みコーキング(すき間に目地材を充填する)の順番です。早い場合は30分~1時間で施工が終わります。ただし、コーキング剤が乾くまでに時間がかかるため、半日~1日は窓を開けないようにしましょう。
二重窓の費用相場
二重窓の費用は、窓の大きさやガラスの種類によっても異なります。窓が大きい場合やガラスの断熱性・防音性が高い場合には、料金も上がることが一般的です。参考までに〇〇仕様の場合の本体価格+施工費の相場としては、「小窓4万円~7万円」「腰高窓7万円~9万円」「掃き出し窓9万円~15万円」などとなっています。これは、あくまで1か所を二重窓にする際の費用です。複数の窓をまとめて二重窓にする場合は、1か所ごとに料金が発生します。
料金体系はショップや施工会社によっても変動するため、まずはお近くのホームセンターにご相談ください。

まとめ
二重窓を設置することで結露を軽減し、室温をより快適に保ちやすくなります。そのため、結露の量やエアコンの効きにくさに不満を感じている方は、二重窓を検討してはいかがでしょうか。
最適なガラスの種類は、断熱性や防音性など、何を重視するかによっても異なります。そのため、ホームセンターの担当者に一度相談して、アドバイスをもらうことも大切です。現状の部屋に関する悩みを詳しく伝えることで、ピッタリの二重窓を紹介してもらえるでしょう。

※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。