リビングから繋がる空間を広々と使えるウッドデッキに憧れを抱く人も多いでしょう。かつては立派な豪邸にしかない存在でしたが、近年ではDIYでウッドデッキを作るためのキットが登場しており、以前よりも身近な存在となりました。一方で、作りやすくなったとはいえウッドデッキは家の一部。長く安全に使えるウッドデッキをDIYするには、十分な知識が必要です。
この記事では、ウッドデッキの構造を基礎からご紹介します。憧れのウッドデッキを手掛けられるようにしっかりと勉強しましょう。

ウッドデッキの構造【基礎】

ウッドデッキの土台となる個所を「基礎」と呼びます。基礎は主に「束石(つかいし)」「束柱(つかばしら)」「根太(ねだ)」と呼ばれる部材で作られており、それぞれの部材は重要な役割をもっています。
基礎石(束石)
ウッドデッキ全体を地面で支える石材が基礎石(束石)です。日本のウッドデッキは「独立基礎」と呼ばれる工法で作られるのが一般的であり、一本一本独立した支柱を束石によって支えています。また、束石はウッドデッキ全体を固定させる役割だけでなく、支柱となる束柱の腐食を防ぐ重要な役割をもっています。
束石の形状は、中央に支柱を差し込む穴が設けられているものが主流です。また支柱をビスで固定するための金属板がついている羽子板付束石は、主にウッドデッキの四隅に使われます。
束柱
束柱は、ウッドデッキを支える柱となる部材です。束石から垂直に伸びるように設置され、基礎の骨組みとなる根太を固定する役割をもちます。束柱の強度はそのままウッドデッキの強度に直結するため、90mm角の丈夫な木材が用いられるのが一般的です。束柱は製品ごとに長さが決まっているため、細かい高さの調節をしたい場合には樹脂製束柱(マルチポスト)が用いられることもあります。
根太
根太はウッドデッキの床板を支え、固定する役割を持つ部材です。束柱同士をつなぐように固定され、根太の上に床板が張られます。原則として、根太の方向と床板の方向は直角に交わるように設置しなければなりません。
大引き(根がらみ)
ウッドデッキの床が高く、床下にスペースが空くような構造になる場合には、ウッドデッキの中央を支える部材である大引き(おおびき)を設置する場合があります。大引きは根太に対して直角になるように束柱に固定されます。
大引きがあるウッドデッキの土台は非常に強固になるため、面積が広いウッドデッキの設置時や、設置位置の関係で束柱の本数を減らしたい時に設置されます。

ウッドデッキの構造【床面】

ウッドデッキの表面を覆う板材は、ウッドデッキの見た目と使い勝手を決める重要な部材です。ウッドデッキに用いられる板材は、主に「床板(ゆかいた)」と「幕板(まくいた)」があります。
床板
床板は、文字通りウッドデッキの床となる部材です。一般的には板状の木材であり、根太に対して直角になるように敷き詰められます。床板に使われる木材にはさまざまな種類があり、厚さもそれぞれです。なお、束柱の間隔は床板の厚さ、硬さがあるほど広く取れるため、束柱を広く取らなければならない場合には、厚みのある頑丈な床板を選ぶ必要があります。
幕板
幕板は、ウッドデッキの床下回りをカバーするように取り付ける板です。ウッドデッキをぐるりと囲むように取り付けることで、根太と束柱の接合部分や束石などを隠し、すっきりとした見た目に整えてくれます。また猫や犬などの侵入を防ぐ働きもあり、清潔に保たれたウッドデッキの床下の状態を維持する役割も果たします。

ウッドデッキの構造【その他】

ウッドデッキは、設置される家によって役割や特徴が大きく変わります。より快適で安全なウッドデッキがある生活を送るため、さまざまな附属品が用意されています。
フェンス、手すり
おしゃれなウッドデッキに憧れて設置をしてみたものの、周囲からの目が気になってしまうというケースは少なくありません。そうした外からの目線を遮るために、ウッドデッキにフェンスを設置することができます。ウッドデッキに設置するフェンスは目隠しだけでなく、ウッドデッキからの転落防止や侵入をしにくくする防犯対策など、あらゆる役割を果たしてくれます。さらに手すりをセットで設置することで、お年寄りや小さな子どもがいる家庭でも安心してウッドデッキでの時間を楽しめるでしょう。
屋根
ウッドデッキの利便性をさらに高めたい方にとって、屋根は非常に便利な附属品です。雨避けや陽射し避けになるように設置できれば、あらゆる天候時にウッドデッキでの時間を楽しめるようになるでしょう。また、雨風や日差しを遮ることでウッドデッキ本体の劣化を抑える効果もあります。ウッドデッキを長く良い状態に保つためには掃除やメンテナンスが欠かせない点は変わりませんが、屋根を設置することでその手間を軽減してくれるでしょう。ただし、屋根の材質やサイズによっては、ウッドデッキのメリットである開放感が薄れてしまいます。ウッドデッキの使い方に応じて屋根の設置を検討することをおすすめします。
ステップ、スロープ
ウッドデッキから屋外へ出入りする場合は、ステップやスロープを設置するとよいでしょう。ウッドデッキは一般的に隣接するリビングと高さを合わせるため、屋外へ出入りするには段差が大きくなる傾向があります。ステップやスロープは、ウッドデッキ本体に直接取り付けて固定するタイプだけでなく、段違いのウッドデッキを設置するような独立タイプ、取り外しや持ち運びができるタイプなど、さまざまな形状から選べます。ウッドデッキから頻繁に出入りするようなら固定タイプ、大勢が集まるホームイベント時にだけ出入りしたいなら取り外しタイプなど、利用頻度や目的に応じたタイプを選ぶとよいでしょう。

ウッドデッキの工法

ウッドデッキの工法には種類があり、国や地域、設置場所などによって用いられる工法が変わります。日本でも風土に合わせた工法が用いられており、ほとんどのウッドデッキは「大引き工法」「サンドイッチ工法」のどちらかの工法で作られています。
大引き工法
大引き工法は、主にハードウッドを使ったウッドデッキに用いられる工法です。束石に乗せられた束柱の上に大引きを直接乗せ、その上に床板を設置する構造が特徴的な工法です。構造が非常にシンプルであり、部材を組み上げるための加工の手間がほとんどかかりません。また、束石の上に部材を積み重ねるため、基礎に対して垂直に荷重がかかります。そのため、非常に安定性が高く、構造上も頑丈である点が大きなメリットとしてあげられます。
ただし、束石を設置する時点で完全に水平をとらなくてはならないため、素人によるDIYが困難とされています。また、束柱の上に部材を積み重ねるため、長い束柱を使った構造には不向きです。フェンスや屋根を設置する際の支柱として束柱を使用できないため、豊富な機能を持つウッドデッキは作りにくいというデメリットがあります。
サンドイッチ工法
サンドイッチ工法は、DIYユーザーに人気の工法です。束柱を挟み込んだ2本の根太が土台となることから、サンドイッチ工法と呼ばれています。大引き工法では床面を水平に保つために束石の時点から水平を保つ必要がありますが、サンドイッチ工法では根太を束柱に固定する時点で水平を取ることができればよいため、束石の水平を厳密に取る必要はありません。工程の途中で水平の調整をしやすいため、DIYでも十分にウッドデッキの設置をできるのが大きなメリットです。
一方で、サンドイッチ工法では床面にかかる荷重を、根太を固定したコーススレッドで受け止めなくてはならないため、大引き工法に比べ強度が弱くなります。この強度不足は根太同士を根がらみ(大引き)で固定することで補うことができますが、その分床下に多くの部材が使われるため、通気性が悪くなる傾向があります。
ただし、一般的なウッドデッキにかかる荷重は人間の体重程度であること、ウッドデッキの耐久性に大きく影響するほど通気性が悪化するわけではないことから、決定的なデメリットとはいえないでしょう。

まとめ
ウッドデッキはDIYで作れるほど、シンプルな構造の建築物です。あらかじめ部品がまとまったキットデッキも多く販売されており、DIYの経験がある人なら誰でも手が出しやすい存在になったといえます。一方で、建築物として家の一部となるため、部品や構造は十分に注意を払って選択しなければなりません。ぜひウッドデッキ設置に必要な知識を身につけ、理想のウッドデッキがある家を実現しましょう。

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