近年、システムキッチンは機能や素材、デザインのバリエーションが豊富になり、たくさんの選択肢から選べるようになりました。一方で、「種類がありすぎてどれを選べばよいのかわからない…」と悩んでしまう方もいるのではないでしょうか?
この記事では、システムキッチン選びに失敗しないための6つのポイントを徹底解説!また、あわせて知っておきたいキッチンメーカー選びやリフォーム業者選びのポイントも解説いたします。ぜひ参考にして、理想のシステムキッチンを見つけてください!

はじめに、いまのキッチンの不満を洗いだそう
古いキッチンの画像(画像出典:リクシル)
理想のシステムキッチンを選ぶためには、まず現在のキッチンでの不満や悩みを洗いだすことが必要です。
現在の不満や悩みを把握せずに選んでしまうと、最新のおしゃれなデザインや便利そうな機能につい目を奪われてしまいがち。「せっかくリフォームしたのに前と同じことで悩むなんて…」と後悔しないよう、まず現在の不満を把握することから始めましょう。
システムキッチンに対するよくある不満は下記です。あなたにも当てはまるものはありませんか?
- 作業スペースが狭い
- シンクが小さい
- 収納が少ない
- 汚れが落ちにくい
- ワークトップが低いor高いため作業しにくい
- デザインが古い、インテリアと合わない
デザインやインテリアのトレンドは変わりやすいため、基本的にデザイン性より使いやすさを重点的に洗いだすとよいでしょう。

失敗しないシステムキッチン選びのポイントは6つ
キッチンリフォーム施工イメージ(画像出典:リクシル)
システムキッチン選びに失敗しないための6つのポイントは、下記の6つ。洗いだした不満が多く当てはまる項目があれば、それが現在のキッチンの問題点です。次のシステムキッチン選びで解決できるよう、重視して選ぶとよいでしょう。
- サイズ
- レイアウト
- オプション機能
- 収納力
- お手入れ
- 素材(色・質感)
①サイズ|使う人に合わせて選ぶ
システムキッチンの標準サイズは、奥行65cm×間口(幅)255cm×高さ80cm。一般的なマンションに多く取り付けられているのがこのサイズです。
ただし、標準サイズが誰にでも使いやすいサイズというわけではありません。システムキッチンのサイズを選ぶ際は、間取りに設置できるかどうかはもちろんですが、主に使う人が作業しやすいものを選びましょう。
システムキッチンの間口の規格サイズは、255cmを中心に、165〜300cm幅のなかで15cm単位で選べます。しかし最近では、1cm単位でオーダーできる便利なモデルも増えています。
奥行きは、60cmや65cmが標準的なサイズです。キッチンスペースが狭く奥行きをコンパクトにしたい場合は、奥行き55cmタイプが用意されているモデルを選ぶとよいでしょう。
ワークトップの高さは85cmが主流で、身長160cm前後の人に最適なサイズとして作られています。主に使う人の「身長÷2+5cm」を目安に選びましょう。
身長 |
最適なワークトップの高さ |
155cm以下 |
80cm |
160cm前後 |
85cm |
165cm以上 |
90cm |
システムキッチンのワークトップの代表的な高さ3種類(画像出典:トクラス)
80、85、90cmと5cm単位で選べるものが一般的ですが、なかには2.5cm単位で選べるモデルもあります。高さがあわないキッチンを使い続けると、疲労や腰痛の原因になることも。目安をもとに、ショールームで実物を体験して、身体に負担のない高さを選ぶとましょう。
なお、リフォームで同じ位置に新しいキッチンを設置した場合、現在のキッチンと同じサイズでないと取り付けられなかったり、取り付け費が高くなる場合もあります。必ず現在のキッチンのサイズを測っておきましょう。
②タイプ・レイアウト|間取りやライフスタイルから選ぶ
システムキッチンのタイプは、大きくわけると壁付けキッチンと対面キッチンの2種類。自分や家族に最適なのはどちらか、それぞれの特長とメリット・デメリットから考えてみましょう。
タイプ |
イメージ |
特長/メリット・デメリット |
壁付けキッチン |
壁付けキッチンの施工イメージ(画像出典:リクシル) |
キッチンの正面が壁に付いているタイプ
○集中して作業できる
○リビングダイニングを広く取れる
○収納スペースを作りやすい
×家族とのコミュニケーションをとりにくい
×キッチンが丸見えになる |
対面キッチン |
対面キッチンの施工イメージ(画像出典:リクシル) |
リビングやダイニングの壁を背に部屋に向かって設置するタイプ
○家族とのコミュニケーションをとりながら作業できる
○開放感があり動きやすく、複数人でも使いやすい
○リビングダイニングが狭くなりやすい
○収納スペースを作りにくい |
壁付けキッチンは、昔から多くのキッチンに導入されてきた定番の形。広いスペースを必要としないため、コンパクトなリビングやダイニングにおすすめです。
対面キッチンは、小さなお子さまがいるご家庭をはじめとして、最近ニーズが増えているタイプです。キッチンをリビングの中心的な存在として、家族と会話したりテレビを見たりしながら作業を楽しみたい方におすすめです。
次に、システムキッチンの代表的なレイアウトは下記の6種類。それぞれの特長とメリット・デメリットから、自分にあうレイアウトはどれか、具体的にイメージしてみましょう。
レイアウト |
イメージ |
壁付け/対面式 |
特長/メリット・デメリット |
I型 |
I型の施工イメージ(画像出典:リクシル) |
壁付け |
もっともベーシックなレイアウト
○ラインナップが豊富
○低価格帯も多くある
○狭いスペースにも配置できる
×リビングやダイニングから全体が見えてしまう |
L型 |
L型の施工イメージ(画像出典:リクシル) |
壁付け・対面式 |
シンクとコンロがコーナーを挟んで向き合うレイアウト
○I型に比べて収納量が多い
○I型に比べて作業スペースが広い
×コーナーがデッドスペースになりやすい |
U型 |
U型の施工イメージ(画像出典:トクラス ) |
壁付け・対面式 |
シンクやコンロをコの字型に配置するレイアウト
○3方向がカウンターに囲まれ、作業効率がよい
○収納スペースも大きくとれる
×角部分がデッドスペースになりやすい |
II型 |
II型の施工イメージ(画像出典:リクシル) |
対面式 |
シンクとガスレンジを対列させるレイアウト
○動線が短く、作業効率がよい
○狭いスペースにも配置できる
×リビングやダイニングから全体が見えてしまう |
ペニンシュラ型 |
ペニンシュラ型の施工イメージ(画像出典:リクシル) |
対面式 |
左右どちらか一方が壁に接しているレイアウト
○リビングにいる家族とコミュニケーションをとりやすい
○狭いスペースにも配置できる
×片側からしか出入りできない
×調理のにおいや煙がリビングに広がりやすい |
アイランド型 |
アイランド型の施工イメージ(画像出典:リクシル) |
対面式 |
キッチンと壁が接する面がない独立したレイアウト
○解放感があり、複数人で作業しやすい
○リビングにいる家族とコミュニケーションをとりやすい
○両側から出入りでき、動線が短く作業効率がよい
×調理のにおいや煙がリビングに広がりやすい |
関連記事:
L型キッチンのメリット・デメリット|コーナー部分の活用アイデア&おすすめレイアウト例
アイランドキッチンのメリット・デメリット|油はねや収納対策、リフォーム価格も解説
③機能性|費用対効果を考えて選ぶ
TOTOの「水ほうき水栓」と「スクエアすべりだいシンク」(出典:TOTO)
システムキッチンの最新モデルには、使いやすさを高めるための便利な機能が豊富に用意されています。どれも魅力的で導入したくなりますが、価格に大きく影響するため、費用対効果を見定めて選ぶことが大切です。
例えば、リンナイの最新のビルトインガスコンロ「デリシア」は、アプリ連動の自動調理機能を搭載しています。料理が苦手な方が毎日使うなら、時間とメンタル面の負担を軽減でき、費用対効果の高い選択といえます。しかし、料理が得意な方や機械が苦手で使いこなせない方が「なんとなく便利そうだから」と導入すると、後悔の原因になるでしょう。
また、水栓やビルトイン食洗機には、節水や節電機能の高い省エネモデルも多くあります。時短を叶えながら、長期的に水道代や電気代も節約できるため、満足度が高くなります。
最新機能を選ぶ際は、ランニングコストや本当に使いこなせるかを考え、必要のない機能まで選ばないよう注意しましょう。
④収納力|なにをどれくらい収納するかで選ぶ
多ければ多いほどよいと考えがちなのがシステムキッチンの収納。しかし、ただ増やせるだけ増やすのではなく、なにをどれくらい収納したいかを把握し、それらを適切な場所にしまえる収納を選ぶようにしましょう。
たとえば、背面収納をどれだけ広く設けても、ワークトップ周辺の収納が少なく調理器具を出すのに何度も振り返える必要があるなら、使い勝手のよい収納とは言えません。作業の流れのなかで、自然に取り出せる場所に収納できるようにしましょう。
使い勝手のよい収納にするためには、下記を目安にしてください。現在のキッチンで足りない収納はどこでしょうか?また、活用できていない収納はありませんか?
収納スペース |
収納に適したもの |
コンロ下 |
火を使う調理で使うもの。鍋やフライパン、レードル、ミトンなど |
作業スペース下 |
深い引き出しが多いため、調味料や油などの背の高い瓶類。料理酒、みりんなど |
シンク下 |
水仕事や調理で使うもの。ザルやボウル、キッチンペーパー、まな板や包丁などのキッチンツールなど |
一番下の浅い引き出し |
使用頻度が低く、重いものや薄いもの。土鍋、カセットコンロ、IHヒーターなどの薄型のキッチン家電 |
吊り戸棚 |
使用頻度が低く、軽くて割れないもの。重箱、紙皿や紙コップ類、保存容器、ふきんやスポンジのストックなど |
背面収納 |
使用頻度は高いが、調理の前後に使うもの。食器やカトラリー、調理家電、食品など |
⑤お手入れしやすさ|お掃除が簡単な素材や機能を選ぶ
トクラス「Bb」のお手入れ簡単なワークトップ(画像出典:トクラス)
キッチンは日々の調理で汚れてしまうもの。お掃除が苦手な方や、時間がなく手早く掃除をすませたい方は、あらかじめお掃除がしやすい素材や機能のシステムキッチンを選ぶことをおすすめします。
設備 |
お手入れしやすい素材や機能 |
ワークトップ |
ステンレスは汚れやニオイが染み込まないため、拭くだけでOK。サビにも強い |
ビルトインガスコンロ |
ガラストッププレートは煮こぼれや油ハネが焦げつきにくく、お手入れも拭くだけで簡単 |
ビルトインレンジフード |
フィルターレスなら羽根に汚れがたまりにくく、お掃除が簡単 |
シンクの排水口(ゴミ受け) |
水を流すだけで水流を発生させて洗浄する排水口なら、お手入れの手間を軽減 |
最近のシステムキッチンには、お手入れのしやすい素材や機能が次々と開発されています。お掃除の苦手な方は、お手入れしやすさをポイントに選ぶと満足度の高いキッチンになるでしょう。
⑥素材・カラー|インテリアに合わせて選ぶ
システムキッチンはサイズが大きく存在感があるため、基本的にはリビングやダイニングの床やドアの素材に調和させることをおすすめします。統一感のある心地よい空間になり、失敗や後悔をしにくい選び方です。
もし個性的なインテリアを目指したいなら、アクセントになる素材やカラーを選ぶのもよいでしょう。上級者向けではありますが、自分らしい空間を作りたい方におすすめです。
クリナップの「ステディア」サイトでは、簡単に素材や色を選んでシミュレーションを試せます。インテリアも変えられるので、自分のキッチンにどんなカラーがマッチするかイメージが沸かない方は、ぜひ試してみてください。
トクラス「Berry」のカラーシミュレーションサイト(画像出典:トクラス)

システムキッチン選びで後悔しないための注意事項
TOTO「ザ・クラッソ」の施工イメージ(画像出典:TOTO)
システムキッチン選びで失敗しないための6つのポイントすべてに共通する注意事項として、「実物を見て判断すること」があげられます。webサイトやカタログで候補を絞ったら、必ずショールームなどで実物を確認しに行きましょう。
写真ではどちらにしようか迷っている場合も、実物の光沢や手触りで「これだ!」とすんなり決まることも多いもの。逆に、「写真では気に入っていたのに、実物を見てみたらイメージと違った」なんてこともあります。
システムキッチンを選びで後悔しないためには、必ず実物を見て触れたうえで決めることをおすすめします。

キッチンメーカー選びのポイント|それぞれの特長を知ろう
TOTO「ザ・クラッソ」の素材・カラーバリエーション(画像出典:TOTO)
システムキッチンは、メーカーごとに得意とする機能やデザインが異なります。システムキッチンを選ぶ際には、自分が重視するポイントを得意とするメーカーを選ぶのもよい方法です。
以下に、主要なシステムキッチンメーカー7社の特長を紹介します。ぜひ参考にしてください。
メーカー |
特長・人気の機能 |
LIXIL |
シンプルからトレンド感の色味や質感まで、幅広く選べるデザイン性
手を近づけるだけで水が出る「ハンズフリー水栓」、水を流すたびに排水口の内部にある汚れを洗浄する「くるりん排水口」 |
トクラス |
耐久性が高く汚れにくい人造大理石カウンター
奥まで広々使える「奥までシンク」、カウンターとシンクにつなぎ目がなくお手入れしやすい「シームレス接合」 |
TOTO |
トイレメーカーならではの水栓の使いやすさ
広がるシャワーで洗いやすい「水ほうき水栓」、薬品や洗剤を使わずにヌメリや黄ばみを抑制する「きれい除菌水」 |
パナソニック |
家電メーカーならではと機能性とスタイリッシュなデザイン
横並びが使いやすい「トリプルワイドコンロ」、下ごしらえから後片づけまでスムーズにできる「PaPaPaシンク」 |
クリナップ |
抜群の耐久性とお手入れ性を誇る上質なステンレス
汚れとキズに強い「美コートワークトップ」、シンク内のゴミを排水口に流す「流レールシンク」 |
タカラスタンダード |
光沢が美しく、丈夫で経年劣化が少ない高品質なホーロー素材
3層構造で調理効率が高い「家事らくシンク」、使いやすい位置に自由に配置できる「マグネット収納」 |
カインズ |
ホームセンターだからできるコストパフォーマンスと品質の高さの両立
どこからでも効率よく排水できる「スキットシンク」、バネの力でラクに昇降する釣り戸棚「ダウンウォール」 |

キッチンリフォーム業者選びのチェックポイント
トクラス 「Bb」のキッチンリフォーム施工イメージ(画像出典:トクラス)
システムキッチン選びと同じくらい悩ましいのが、リフォーム業者選びではないでしょうか。思い通りのキッチンリフォームを叶える成功のカギは、業者選びにあると言っても過言ではありません。
リフォーム業者とひとことで言っても、その業種はさまざま。以下に主なリフォーム業者4種とその特徴を紹介します。
業種 |
特長 |
工務店 |
木工事が得意。地域密着で融通が利きやすい |
リフォーム専門会社 |
複数のメーカーから提案がもらえる |
ホームセンター・家電量販店 |
費用を抑えやすい。キッチンの一部の交換だけでも対応可能 |
キッチンメーカー |
専門的な知識や経験が豊富で安心感がある |
どの分野の業者を選ぶ場合でも、信頼できるリフォーム業者を見つけるには、どんなポイントを押さえておくべきでしょうか?下記の5つをチェックしましょう。
- キッチンリフォームの経験や実績が豊富か
- 現地調査がていねいか
- 価格が適正か
- 工事後の保証やアフターサービスがあるか
- 担当者が話をしっかり聞いてくれるか、説明はていねいか
キッチンリフォームの見積もりや現地調査は、基本的には無料です。複数のリフォーム業者に相談して、じっくり比較検討しましょう。

まとめ
本記事では、失敗しないシステムキッチン選びの6つのポイントについて解説しました。
- ①サイズは、間取りだけでなく主に使う人に合わせて選ぶ
- ②タイプ・レイアウトは、間取りやライフスタイルから選ぶ
- ③機能性は、費用対効果を考えたうえで選ぶ
- ④収納力は、入れたいものを把握し、適切な場所にしまえる収納を選ぶ
- ⑤お手入れのしやすさは、あらかじめお掃除が簡単な素材や機能を選ぶ
- ⑥素材・カラーは、リビングやダイニングのインテリアに合わせて選ぶ
毎日のように長い時間をすごすキッチンをリフォームすると、身体的・心理的ストレスが軽減し、生活の質=QOL(Qality Of Life)が驚くほどあがります。理想のシステムキッチンにリフォームして、快適な日々をすごしましょう!

※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。